海外赴任者の個人所得税について解説 | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号


海外赴任者×個人所得税

海外赴任者に係る個人所得税は、日本国内および海外赴任国の個人所得税について考える必要がございます。海外赴任中の海外現地国での個人所得税についてご案内させていただきます。その後に、日本国内の個人所得税についてご案内させていただきます。

掲載情報については2020年12月時点における情報に基づいて、株式会社ガルベラ・パートナーズよりのご寄稿で作成したものです。ただし、その掲載情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性については何ら保証しないことをご了承ください。直接、専門家の方々にお尋ねすることをお勧めいたします。くれぐれも慎重にご判断ください。

海外赴任者の個人所得税について解説

海外赴任中に支払われる給与の個人所得税の取扱いについて

海外赴任中に支払われる給与の個人所得税については、各海外赴任国の税制に応じて課税され納税する必要がございます。

大きな判断ポイントは3つございます。
①外国人の納税義務の定義
②納税範囲
③納税方法

になります。

海外赴任各国に応じて異なりますので確認が必要となります。

まずは、日本の税法に基づいて、上記の①外国人の納税義務の定義、②納税範囲、③納税方法についてご説明させていただきます。

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日本に海外から外国人が赴任した場合

①納税義務の判断

日本の所得税法では、「居住者」は日本国内に住所を有し、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人をいいます。日本での滞在期間が1年未満で、派遣期間終了後に帰国する場合は「非居住者」と規定しています。

非居住者であっても日本国内で支払いを受ける給与または報酬は源泉所得とされ、納税義務があります。

②納税範囲

国内所得(日本国内で得たお金・各種フリンジベネフィット)、海外所得(海外で得たお金)、国内への送金(海外から日本国内に送金されたお金)
※居住者・非居住者だけでなく永住者・非永住者などの区分に応じて課税の範囲は異なります。

③納税方法

会社で就労している場合は、月々の源泉徴収、年末調整、確定申告になります。
確定申告は必要な方のみが個人で行います。



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日本から海外へ従業員を赴任させた場合

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ベトナムの個人所得税

ベトナムの個人所得税についての①外国人の納税義務の定義、②納税範囲、③納税範囲についてご説明いたします。

①外国人の納税義務の定義について

ベトナムの場合、【居住者】か【非居住者】によって納税義務の定義・範囲が異なるため、まず【居住者】・【非居住者】の違いについてご案内いたします。

ベトナムにおける【居住者】とは、以下のいずれかの条件を満たす個人をいいます。

・暦年、またはベトナムに入国した日から連続する 12 ヵ月の期間のうちベトナムに滞在する期間が 183 日以上であること。
・ベトナムに恒久的居所(※)を有すること。
 ※例えば、外国人の場合には公安省管轄の権限ある当局によって発行された一時居住者カード、または永住居住者カードに登録されている居住物件を所有している。

ベトナムにおける【非居住者】とは、上記の【居住者】以外の個人が非居住者となります。

②納税範囲について

ベトナムでの納税範囲ついては、ベトナム【居住者】と【非居住者】によって異なります。

ベトナム【居住者】は、全世界所得*が個人所得税の課税対象 となります。
*全世界所得とは、支払地を問わず、ベトナム国内外で得たすべての所得が対象 となります。

ベトナム【非居住者】は、支払地を問わずに、ベトナムを源泉とする所得のみが課税対象 となります。

③納税方法について

べトナムでは、支払者が源泉徴収を行うものと、個人で確定申告しなければならないものがあります。

支払者が源泉徴収を行わなければならないもの。※【居住者】の場合

・賃金及び給与
・資本投資所得
・証券譲渡所得
・賞金等の所得
・使用料所得
・ロイヤリティ、フランチャイズから得る所得

個人が確定申告しなければならないもの。

・給与所得がある個人居住者の場合、国外から支払われる給与
・居住者の国外源泉所得
・居住者の事業所得
・居住者の不動産譲渡所得
・居住者が配当金の代わりに交付を受ける株式
・居住者の資本譲渡所得
・居住者の相続所得
・居住者の贈与所得

上記以外に、海外赴任者の場合、ベトナム赴任が終了してベトナムを出国する際は、年次確定申告を行う必要があります。

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タイの個人所得税

タイの個人所得税についての①外国人の納税義務の定義、②納税範囲、③納税範囲についてご説明いたします。

① 外国人の納税義務の定義について

タイの場合も、【居住者】か【非居住者】によって納税義務の定義・範囲が異なりますので【居住者】・【非居住者】についてご案内いたします。

タイにおける【居住者】・【非居住者】は、暦年中におけるタイでの滞在日数で決まります
タイに、暦年中で180日以上滞在した方はタイの【居住者】となり、180日未満の方が【非居住者】となります。

② 納税範囲

タイでの納税範囲ついては、【居住者】と【非居住者】によって異なります。

【居住者】は、タイに源泉のある現金所得に対して、それがどこで支払われたものであれ、所得税の納税義務がある。また、源泉が海外にある場合も、タイに持ち込まれた所得については納税義務がある。
※海外赴任者はタイ現地の法人等で役務提供しております。その役務提供の対価と支払われる給与はタイ現地法人、日本法人のどちらで支払わられてもタイでの納税義務があります。源泉が海外にある場合とは、例えば、日本で家賃収入等になります。その家賃収入をタイへ持ち込み、もしくは送金した場合は、タイでの納税義務が発生いたします。

【非居住者】は、タイに源泉のある所得に対してのみ個人所得税を支払えばよい。
※タイにおける個人所得税の課税基準は、課税所得になります。「課税所得」とは、現金および財産またはあらゆる形の受取利益で、金額に換算できるものを指し、所得の支払者から納税者に支払われる総額になります。よってタイでは、フリンジベネフィットの多くが課税所得なります。

③ 納税方法について

タイでの個人所得税の課税年度は、暦年(1月1日より12月31日)であり、毎年の確定申告を翌年の3月までに、個人が行うことになっています。タイにも、日本と同様に、給与所得に対する個人所得税に関する源泉徴収制度があります。
※法人は、従業員に給与を支払う場合、所定の税金を天引きして支払う義務があります。

日本人のタイへの海外赴任者の多くは、タイ現地法人から支払われる給与所得に関しては、タイ現地法人が毎月源泉徴収を行い、日本法人から支払われる給与所得に関しては、個人で確定申告し、納税を行っているケースが多いです。

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中国の個人所得税

中国の個人所得税についての①外国人の納税義務の定義、②納税範囲、③納税方法についてご説明いたします。

①外国人の納税義務の定義について

中国の場合も、【居住者】か【非居住者】によって納税義務の定義・範囲が異なりますので【居住者】・【非居住者】についてご案内いたします。

1.中国における【居住者】とは、下記の要件のどちらかに該当する場合になります。

・中国国内で住所を有している場合
・中国国内で住所を有していないが、中国国内で満183日居住している場合
※中国国内で住所を有していということは、戸籍、家庭、経済的利益関係により中国国内に習慣的に居住する個人のことになります。

2.中国における【非居住者】とは、下記の要件のどちらかに該当する場合になります。

・中国国内で住所を有しておらず、また居住していない場合
・中国国内で住所を有していないが、中国国内での居住が183日に満たない場合

② 納税範囲

納税範囲ついては、【居住者】と【非居住者】だけでなく【居住者】の場合は累積居住者年数によって2つに区別され、【非居住者】の場合も納税年度における居住日数によって2つに区分されます。下記の表にて確認ください。

③ 納税方法について

中国の場合、原則として、給与として支払う所得に関しては、支払った法人が毎月または支払いを行う毎に税金を源泉徴収し、全額を源泉徴収しなければなりません。中国への海外赴任者が、日本法人から給与支給されている場合は、原則として、中国から支給されている給与と合算して毎月納税いたします。

【居住者】の場合は、予納税額が年度の納付すべき税額と一致しない場合、居住者個人で、総合所得年度確定申告を行い、税金の過不足分を精算いたします。

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台湾の個人所得税

中国の個人所得税についての①外国人の納税義務の定義、②納税範囲、③納税範囲についてご説明いたします。

① 外国人の納税義務の定義について

台湾での、【居住者】、【非居住者】の判定は、1課税年度内(1月1日~12月31日)に183日以上滞在した場合は居住者となり、182日以下の場合には非居住者となります。
※保有しているビザの種類は関係ありません。

② 納税範囲

納税範囲ついては、【居住者】と【非居住者】だけでなく【非居住者】の場合は納税年度における居住日数によって2つに区分されます。下記の表にて確認ください。

※滞在日数の計算基準は、台湾入国の翌日から出国の当日までを、1月1日から12月31日までの期間内で累計して計算します。

③ 納税方法

納税方法は、上記の【非居住者】の2分類と【居住者】によって異なります。

1.【非居住者・滞在期間90日以下】

課税年度(1月1日~12月31日)において、台湾滞在が90日以内の場合、台湾での所得はそれぞれの徴収率(給与は原則18%)に応じて源泉徴収され、申告の必要はありません。
ただし、源泉徴収に該当しない所得(家賃収入等)は出国の際に申告しなければならない。

2.【非居住者・滞在期間91日以上から182日以下】

課税年度において、台湾滞在が91日以上182日以下の場合、台湾での所得は源泉徴収されます。ただし、源泉徴収に該当しない所得(海外雇用主が台湾での役務提供に対して支払う報酬を含む)については、徴収率に応じて納税申告の必要があります。
※台湾国内で労務の提供による給与所得については、次の3要件を満たす場合には、日本でのみ課税され、台湾では課税されません〔日台租税協定第15条第2項〕。

①日本居住者が暦年度中に開始または終了する12カ月の期間において、台湾に連続または累計で滞在日数が183日を超えない(暦年度での日数計算のみではなく、入国または出国するいずれかの12カ月においても、台湾滞在期間が182日以内であることが必要)。
②当該報酬が、台湾の居住者でない雇用主またはこれに代わる者から支給されている。
③当該報酬が、当該雇用主の台湾での恒久的施設または固定的施設により負担されていない。
※これら3要件を満たし、納税が必要でない場合も、暦年で91日以上の滞在となる場合には、申告自体は必要になります。

3.【居住者:滞在期間183日以上】

1課税年度において、台湾滞在が183日以上の場合は「居住者」に該当し、当該年度の各種源泉所得、および台湾での役務提供に支払われる海外雇用主からの報酬などの合計から各種控除を行った後の残額が課税所得となり、累進税率に従い総合所得税の納税申告を行います。
下記の表にて確認ください。

寄稿 ガルベラ・パートナーズグループ

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