査定ではなく社員を育てる評価制度。『人事の舞台』で海外拠点の意識が変わる | 進出企業インタビューならヤッパン号


査定ではなく社員を育てる評価制度。『人事の舞台』で海外拠点の意識が変わる

株式会社東京コンサルティングファーム 代表取締役 小林 祐介

査定ではなく社員を育てる評価制度。『人事の舞台』で海外拠点の意識が変わる

株式会社東京コンサルティングファームが、会計事務所の強みを生かして作り上げたクラウド評価システム『人事の舞台』。前回は、その開発のコンセプトや特長について伺ってきました。今回は、実際に東京コンサルティングファーム社でも使われている様子をまじえながら、その導入の意義やメリットについて、さらに掘り下げていきます。

『人事の舞台』は目標設定と制度作りで生きてくる

―『人事の舞台』は、御社でも使われているそうですね。

 はい。当社は世界27カ国に拠点を持っていますが、各国と日本を結んで実際に『人事の舞台』の運用を進めています。自社での実績があるからこそ自信をもっておすすめできるシステムです。

 もちろん、ただシステムを入れたら全てうまく回るかというと、そうではありません。制度として進めていくためには、財務的な成果目標(KGI:Key Goal Indicator)や、行動目標(KPI:Key Performance Indicator)を策定した後も、定期的に進捗状況を見ていくことが必要です。

 あくまでもマネジメントシステムとして機能させることが重要だと考えています。当社でも週1回のペースで全世界的に進捗状況を見ていくなど、さまざまな場を設けて議論やフィードバックを行っています。
 

 

―社員の方と評価者の間では、どんなコミュニケーションが取られていますか?

 具体的には3カ月に2回、評価面談を行っています。最初に全体の成果目標(KGI)を確認し、「それを達成するためにどうすればよいか」という、個人レベルの行動目標(KPI)を決めていきます。

 KGIはトップダウンですが、そのゴールに向かうために自分がどういう行動を起こし、どこを目標にするかは、自分で考えて申請することができるようにしています。そうすることで個人の強みを生かすことができますし、ボトルネックになっている部分を解消することも可能です。

 社員は自分で決めることで、自分の事として積極的に取り組む意欲がわき、結果に対しても納得感が得られるようになるのです。その行動に対して、評価者は定量的に評価をしていくわけですが、ただ評価するだけではなく、定期的な評価面談を行い、社員と評価者が議論をしながら、目標と結果のずれがあれば修正していきます。

 部下がなかなか行動目標と成果目標をつなげて考えられない場合もあります。その場合は、本当にその目標で成果につながるのか、きちんと上司が見てフィードバックをしてあげるようにしています。上司の目利きも必要になってきますね。

 

―部門によっては、KPIの設定が難しくありませんか?

 営業などは売り上げ目標から逆算して設定することができます。一方、バックオフィス部門は難しいと思われるかも知れませんが、「生産性」というのが分かりやすい指標になります。

 残業時間をどれくらい短縮するか、5人でやっている仕事を4人でやるにはどうするかなどを考えればよいのです。また、仕事の標準化するためのマニュアルの作成といった行動も、目標になってきます。

 

―スコアリングの部分はどう設計されているのでしょうか?

 例えばバックオフィスを見てみましょう。担当している個々の仕事に関して、目標時間が設定されていることは少ないのではないでしょうか。当社ではまずそれを設定した上で、どれだけ時間がかかったかを計測することを徹底しています。

 非定型と思っている仕事も、実は分解していくと、定型としてやっておかなかったために非定型で降りかかってくるものがあります。それを改善するということで、改善提案の件数を数値化するというのも、一つの案です。

 このように、常に計測可能な指標を設けた上で、目標時間の達成度が何パーセントであったか、改善提案の件数が目標に対してどうだったか、計測していけばよいのです。

 

   

『人事の舞台』で強い海外法人をつくる

―日本式の評価システムは、海外でも抵抗なく受け入れてもらえるでしょうか?

 当社の現地スタッフは、全世界で200人以上。現地でも日本と同じように『人事の舞台』を運用しています。新しい制度を導入する際には、何のための制度なのか、最初にきちんと説明をすることが大切です。

 不安が生じないよう、役職の定義や、スタッフごとのジョブディスクリプションを明確にし、給与テーブルを作っておく。その上で、制度の導入により、社内でのキャリアアップの道筋に透明性が生まれ、納得感が得られれば、海外でも問題なく運用することができると考えています。

 

―強い海外法人をつくるには、どうすればよいとお考えですか?

 現地のトップとして赴任するのは、職種でいえば、技術系や営業が一般的です。人事や財務の経験者は多くありません。一方、現地のスタッフやお客様からみると「会社のトップ」であるわけですから、業務、財務、人事など、組織全体をマネジメントする役割があり、高い意識をもって取り組むことが求められます。

しかし、「3年間だけ行けと言われたから来ました」といったサラリーマン的なスタンスで、日本にいた時の感覚をそのまま引きずってしまうケースもあります。確かに営業や製造畑で働いてきた人たちに、突然「全部見ろ」というのは難しいといえるでしょう。

 

―弱い人事や財務の部分を、強くしていけばよいのですね。

 そこで考えられるのが、日本の本社からのサポートです。特にいまコロナ禍で、現地に日本人が行けない状況でもありますから、日本から遠隔でサポートが受けられれば非常に助かるといえます。

 人事部門や経理部門の知見をもって海外のマネジメントを支援していくことで、海外においてもさまざまな問題に対処できる、心強い環境ができるはずです。

 サポートの方法として、『人事の舞台』をはじめとする、さまざまなクラウドシステムが有効です。われわれは日本から、いつでも海外拠点の人事の状況や財務の状況、戦略の遂行状況が確認でき、サポートできる仕組みを作ってきました。

 駐在員だけに任せてしまうと、有能な駐在員がいる間はよいのですが、人が変わったタイミングでうまくいかなくなる恐れがあります。強い海外法人をつくるには、属人的でない「仕組みでバックアップしていく」というコンセプトが重要だと考えています。

 

―『人事の舞台』は何ヶ国語対応ですか?

 今のところ、日本語、英語、韓国語、中国語、ベトナム語の5カ国語に対応しています。海外では英語の話せる従業員を雇うことが多いため、ほとんどカバーできていますが、別の言語での開発も可能です。また、各国通貨で賃金表示や計算ができるようになっており、為替レートの計算も簡単に行うことができます。

 

会計目線を生かし、安心できる改革を

 『人事の舞台』は、社員が正当に評価され、頑張れば報酬が上がっていく仕組みです。相対評価の場合は限られた原資を奪い合う形になりますが、絶対評価の場合は誰もが評価を上げることができるため、他人の評価を気にすることなく、自分の目標に集中できます。そのためには確かなゴールづくりが不可欠です。当社では、ゴールを作るお手伝いをするべく、コンサルティングも行っています。

 当社のコンサルティングは、財務の部分を見ながら進めていけることもメリットです。昇給原資は、当然ながら会社の利益の部分になりますから、やみくもに昇給するのではうまくいきません。当社ではもう一つのクラウドサービス『財務の役者』も活用しながら、財務上の利益と総額の人件費をリンクさせて管理していくことができます。ぜひ会計に強い当社の特長をフルに活用し、改革を進めていただきたいと思います。

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