【海外の人材マネジメント特集】顧客の9割がローカル企業。要は伝え方。“伝わる”コミュニケーションで、従業員とともにシェア拡大を目指す。 | アジア、ヨーロッパ、アメリカ進出企業インタビューならヤッパン号


【海外の人材マネジメント特集】
顧客の9割がローカル企業。要は伝え方。“伝わる”コミュニケーションで、従業員とともにシェア拡大を目指す。

Hoshizaki ( Thailand ) Limited Managing Director 廣幡 公士

【海外の人材マネジメント特集】
顧客の9割がローカル企業。要は伝え方。“伝わる”コミュニケーションで、従業員とともにシェア拡大を目指す。

製氷機の世界シェアNo.1、冷蔵庫や食洗機等の厨房機器を扱い、ペンギンマークでも有名なホシザキ社。
2017年よりタイ拠点に赴任された廣幡氏に、売上の9割をローカル企業が占めるという同社の状況や、現地スタッフとのコミュニケーションについてお話を聞いた。

・タイ法人の事業について、教えて下さい。

2015年2月に会社設立しまして、従業員は20名(2名が日本人)。タイのパトムタニに本社があります。プーケットにも支店があり、そちらに1名が在籍しております。

・タイ進出の背景についてお聞かせください。

弊社ホシザキは、1990年代になると、ありがたいことにアメリカを始め世界中に拠点ができ、ローカルのお客様にも認知が広がっていました。その中で、1996年頃から、シンガポールを経由してタイ向けの輸出を開始していたんです。

ただ、タイをはじめとする途上国は冷蔵庫製造などを行うプレイヤーが多く、特にタイは競合が強いという課題がありました。そこで、自社としてもタイ向け販売を強化するために、アジアの一拠点としてタイ法人を設置したという流れです。

タイでは、営業拠点として、セールス、メンテナンス、バックオフィス業務を行っています。現在、売上の9割がローカルオーナーのお客様で、製氷機、冷蔵庫の順で中心に取り扱っています。

 

・売上の9割がタイローカル企業との事ですが、ローカル企業から信頼を得られた要因についてお聞かせください。

まず前提として、どこに行っても弊社の製品価格は高いと言われます(笑)

その一方で、弊社の冷蔵庫は気温の高い東南アジアでもきちんと冷えます。安全面と衛生面を遵守しながらアジアにフィットした価格で販売出来る、余計なものを省いた「A-Fit」シリーズが中心のラインナップです。

ホシザキ社HPより

また関税の面もあります。当社がタイ進出前にインドのグループ会社で業務用冷蔵庫の生産を開始したことがプラスに働きました。

タイは関税が特殊で、タイ法人設立当時、業務用冷蔵庫の関税は中国輸入時に20%もかかった一方、インドからの関税は0%だったんです。

そこで、タイ法人設立前に買収したインドの系列会社から業務用の冷蔵庫を輸入することにしました。中国経由に比べて関税が大幅に低いため、結局7割がインド、3割が中国製という内訳となりました。

現在は、中国からの関税が20%から5%に下がり、差はなくなってきています。現在はタイとベトナムがインド中心。ほかの東南アジアでは中国製中心です。

 

・洗剤メーカーSARAYAと提携し、食洗機&洗剤のサブスクを開始されたとの事ですが、こちらの狙いはなんでしょうか?

はい。会長の想いもありまして、食器洗浄機で世界No.1になろうと、取扱を強化する中での施策です。

前提として、東南アジアでは飲酒文化の違いから自社商材のビールサーバーが売りにくいため、もともと食洗機の取扱に注力をしてきたんです。東南アジアでは、ビールに氷を入れて飲まれますよね。

それに、タイの飲食店が食洗機を購入するのは珍しいんです。半分以上は洗剤屋さんからレンタルし、月々払いの、月極レンタル契約をします。ちょうど日本のプリンターとインクの関係です。その中で、SARAYAさんが去年からタイで食器洗浄機洗剤の販売を始めたので、食洗機と食器洗浄用洗剤をパッケージにしたレンタルサービスを開始しました。

珍しいビジネスモデルではないですが、ホシザキの食洗機が、省エネかつ洗剤の消費量も少ないため、食洗機も洗剤も料金固定で使い放題というのが強みです。

参考画像

 

・コロナ対策としての「殺菌需要」として売れるような動きもあるのでしょうか?

いえ、外食が難しくなり、飲食店の出店も止まっているので食洗機の売れ行きは厳しいです。南のプーケットなどはホテル等がやっと動き出しましたが、まだ少ない。平時に比べるとまだまだです。

タイはワクチンの自国生産ができるので、10月頃には開国できると政府は言っていますね。現地経営者の話を聞くと、希望的観測としては年内に観光需要が戻り始め、外国人も来るようになり、来年中に元通りになるという見通しの方が多くいらっしゃいます。

もしそうなれば観光地におけるホテル、ひいてはショッピングセンターなどの飲食需要も戻り、販売のペースも戻ってくると思います。去年のまったく何も見えない状態よりは、明るい状況といったところですね。

 

・従業員の研修や育成制度についてお聞かせください。

まずホシザキの海外拠点という観点で話しますと、日本のほうが圧倒的に人材規模が大きいため、日本における弊社の人材教育は体系化されています。一方で国外とくにアジアは、小規模です。そのため日本で作った、製品ごとのトレーニングツールや、汎用性の高い人材教育ツールを、国ごとにカスタマイズした上で持ち込むのがメインです。

私自身、人材教育の投資を多く頂いた社員のひとりということもあり、社員教育の必要性を強く感じています。そのためタイでの人材教育も、毎年予算を確保していました。

例えば、外部の人材教育企業によるトレーニングメニューを受講させていました。対象は弊社のマネージャーや2番手。内容は、日本企業とローカル企業の違い、日本の本社が考えていること、日本企業の理念などです。こうした教育を、外部研修という形で実施していました。また、私自身からの発信も常に行っています。

日本人スタッフにも「タイ人とは」「タイ企業とは」といったトレーニングメニューを受けてもらい、タイ人の特性や注意点などを身に着けています。トレーニングの受講には数年かかることもありますが、受けさせて良かったと思います。

 

・日本のホシザキ社の保守は、1人1日平均10店舗、アイテム約5000種を扱うと聞いております。現地スタッフの採用から育成まで、どのように行っていらっしゃいますか。

在籍する18名のうち、新卒は1~2名だけで、あとは第二新卒を含む経験者です。業務内で「冷媒」(=冷蔵庫やエアコンを冷やすもの)などを扱うため、募集段階で「エアコンや家庭用冷蔵庫の修理経験者」など最低限の知識を持っている人材ありきで採用します。実際、自社商材で1番簡単に1人立ちできるのは冷蔵庫なんです。もちろん、その期間は人によりますが。

また日本のトレーニングマニュアルを英訳した資料も用意しています。マネージャークラスになれば英語も多少は分かりますから、トレーニングマニュアルでマネージャーによる座学を実施し、現場ではOJTを行って、1人前を育てていくという流れになります。

 

・評価制度で日本と異なる部分はありますか?

ホシザキの海外拠点は、本社の評価制度を強制するようなことはなく、各国の責任者次第で評価制度を運用できます。日本のものを丸写しする場合もあれば、日本と文化が違う地域ではカスタマイズをする場合もあります。私の場合、日本の内容を参考にしつつ、あくまでローカルのやり方を可能な限り尊重するというスタンスです。

特にタイでも、ジョブホッピングの文化が一部でありますから、福利厚生とか給与については従業員に不満を持たれないようにしています。業界内で転職する人が多いので、どうしても待遇面が他社より良いかどうかが離職や採用時に重要になるんです。

もちろん待遇面を良くするためには生産性を高める必要がありますから、営業成果など、求める数値の面は厳しく見ています。現状、同業他社よりは高い生産性を出せていると思います。

また、関係性の構築という観点で、社員旅行を実施しています。例えば去年も厳しい状況下ではありましたが、クラビというリゾートに社員旅行に行きましたね。本来は日本に行くはずだったのですが、コロナの影響で断念しました。

社員旅行の予算や大まかなプランは私の方で決めましたが、泊まるホテルなどの使い道はマネージャーに任せました。あのときのプランニングと同じくらい普段も働いてほしいと思うくらい、結束して熱心に計画を練っていました(笑)

ほかにモチベーションを上げる方法として、月次売上予算達成したら食事会を行っていましたし、新年会もやっていました。しかし現状はコロナですから。外食が難しく、気がつけば1月予定のニューイヤー・パーティーも6ヶ月以上延期しています。

しかし、こうした取り組みもあってか、過去5年で自主退職は1名のみに抑えられています。

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