・廣幡様のこれまでのご経歴についてお聞かせください。
私はホシザキ入社後、日本で15~16年、国内営業をチェーン店に向け行ったほか、アジア方面の営業を担当しておりました。その後、2010年9月設立の台湾支社に、2011年5月から責任者として5年間赴任しました。
当時の台湾支社は、現地の販売代理店に弊社が資本参画をする形の合弁会社だったので、台湾人34~35人に対し、日本人が自分ひとりという“アウェー状態”。その中で、中国の蘇州にある工場が稼働し、また厨房機器一式での受注を増やせたこともあり、5年で売上を3倍に伸ばせたのは大きな収穫でした。
その後、2017年2月から現在まで、タイに駐在しております。
・台湾、タイとご経験をされる中で、国民性の違いなどは感じられましたか。
はい。初めて台湾に行ったときは、言葉も違いますし、法律も違いますから、全く違う国に来たんだと感じることは多かったです。また国民性として「結果オーライ」なところがある。だからいわゆる「報連相」もなく、しかも途中経過を確認すると「なにもできていないじゃないか!」と思ってしまうような状態なんです。
それでも、締切日に確認すると、100点満点中80~85点くらいのクオリティのものが出てくる。それが台湾の不思議な部分でした。タイでも、同様に「結果オーライ」なところがあり、最終的に70点前後、及第点の完成度で仕事が上がってきます。
そのため、自分から「いつまでにできるか?」とリミットを明確にするように心がけています。「来週の○日までに」と伝えれば、きちんとスケジュールに沿って動いてくれます。もちろん、一部で納期や待ち合わせなどの約束を守らない事例も聞きますが、お陰様で弊社は概ねストレスなくできていると感じます。勿論日本人よりも優秀な対人Managerが何人かもいます。
・そのような文化のなかで、現地スタッフとどのようにコミュニケーションをとっていらっしゃいますか。
コミュニケーションに関しては、まずマネージャーに対しては毎週水曜日のミーティングをオンライン会議システムで行っています。
また、LINEを多く使うようにしていますね。例えば修理やサポートを行うサービスマンにLINEを登録してもらい、会社のグループLINEに招待して、外での活動を報告させています。
具体的には「現場に只今着きました、修理する製品はこれです、ビフォーアフターはこうです。」と写真付きで報告させます。社内でのメール・LINEは基本的に英語です。分からなければタイ語でもOKにしています。Google翻訳でおおまかな意図はつかめますから。
ほかに気を付けている点としては、話す際の言葉遣いです。話すときに日本語が問題なくできる社員は18名中2名おりますが、その2名に対しても丁寧な日本語でしゃべります。「いま話した日本語がわかっているか?」と再確認を行うことも良くあります。
また、現地の日本語がわからない社員とは英語で話しかけたり、通訳を介したりするのですが、その際に通訳に対しても、丁寧でわかりやすい日本語を使うように心がけています。例えば日本の社長からメールが来たら、自分で噛み砕いて説明します。これは台湾でもタイでも一緒でした。要は伝え方です。日本語が伝わってないのに「わかった」と言ってしまうスタッフもおりましたから。

・勤怠管理はどのように行っていらっしゃいますか。難しいと感じることはありますか?
難しいと思うことはあまりないですね。
弊社のやり方としては、勤怠管理のうち、オフィスワーカーに関しては一般的な勤怠管理システムを使っており、外勤のメンバーは時間になったら、「ここに到着しました、いまから仕事します」など、LINEグループに写真をアップさせています。
一方で、セールスはお客様とのお約束などがあるため、むやみに勤怠の時間を縛らないようにする方針です。私達のほうでは勤怠管理をせず、マネージャーに任せています。
・会社としての今後のビジョンや展開はどのようなものがありますか?
まず短期的なところでは来期予算・中期予算の達成です。通常は8月からスタートしますが、今年は少し繰り上げて開始しています。
国内と海外の売上比率を半々にするのが目標になりますので、その中でタイ法人としての役割を果たしていくということです。
国によって伸びしろは異なりますが、タイは競合する冷蔵庫メーカーが非常に強いので、無理に冷蔵庫の売上を伸ばすのではなく、製氷機にビジネスチャンスを見出しています。実は、タイの7割が今も麻袋に入った袋氷を使っているため、製氷機が入る伸びしろはものすごく大きいんです。
よく言われるのは、1人あたりのGDPが1万ドルを超えると、水道水や電気などのインフラが整い、袋氷から製氷機に切り替わる傾向にあると聞いています。
更に、タイはほかの東南アジアに比べても、アイスコーヒーなどの冷たい飲み物が人気です。そのため製氷機、並行して食洗機のシェアを拡大したいと考えています。売るだけではなく、サラヤさんの事例のような、新しい売り方にも挑戦します。
・個人としての今後のビジョンやビジネスパーソン・マネージャーとして、目標として、見据えているものはありますか?
実は来年2月で赴任から5年が経ち、そろそろ次の辞令が下る可能性があるんです。一方で延長する可能性もあります。実際、私のこれまでの経験や英語力などでホシザキに貢献できるのは東南アジアだと思うんです。なので今後もタイや、ほかの東南アジアでホシザキの製品を売っているかもしれません。
日本でクラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」を開発し、国内シェア トップクラスを獲得したメンバーが、その海外展開として東南アジアへ進出。徐々に人事管理が浸透してきている東南アジアでも勤怠管理システムや人事管理システムを提供し、ローカル企業のクライアントも多数。 |