ヤクルトマレーシアの人材マネジメント(2/3) | マレーシア 人材マネジメント 食品メーカー進出企業インタビューならヤッパン号


ヤクルトマレーシアの人材マネジメント(2/3)

ヤクルト マレーシア 代表取締役社長 濱田 浩志

ヤクルトマレーシアの人材マネジメント(2/3)

多民族国家マレーシア。マレー系、中華系、インド系を中心に、多くの文化や宗教を背景に持つ人々が混在している。そんなマレーシアでは民族ごとにマネジメントを考える必要がある。ヤクルトマレーシアでは、どのような形で対応しているのか、マレーシアでもクラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」を展開するHUUBAPの奥畑氏が、ヤクルトマレーシアの代表取締役社長の濱田氏に話を聞いてきた。(2/3)

マレーシアでは民族ごとにマネジメントを考える

―民族の壁がある中で、どのような体制であればマネジメントはうまくいきますか?

在マレーシア日系企業の間では、一般的に、中華系マレーシア人をマネージャーにして、中華系もマレー系も管理する体制が言いと言われています。これは、日本人にとって、中華系マレーシア人が使いやすい、ということも大きな要因だと思います。 ただ、経験上、その体制だとマレー系が意欲を失う可能性が高くなってしまいます。このあたりを、どうしていくべきかが難しいところで、今まさに試行錯誤している段階です。 中華系は、向上心が強いのはいいのですが、常に下克上の意識があり、上司を飛ばして、その上の上司に認められるようとする傾向があります。そうすると管理職同士で揉めてしまうことも多いんです。 一方、マレー系は、政治的な習慣があるため、上司を飛び越そうとすることはなく、一度体制が整えば、安定するメリットもあります。 理想としては、マレー系の従業員で、能力が高く、民族の壁を越えてコミュニケーションが取れる人を育てることができれば中華系もマレー系もきっちりコントロールできるマネージャーになるのではないかと思っています。理想ですが。

―御社の組織体制についてお聞きしたいのですが、やはり民族ごとにある程度分けて組織を作っているのですか?

そうですね。私たちは日本的な組織を作っているので、部署やディビジョンなどに、チームを細かく分けていますが、それぞれのチームでうまく連携を取らせようとすると、おのずと、民族別に分かれていますね。 例えば工場であれば、ほとんどがマレー系で中華系がほとんどいないので、マレー系をベースとした体制を構築しています。 営業は、中華系とマレー系と、それぞれチームがあります。ここのマネジメントは試行錯誤しているところですが、現在は中華系のマネージャーを据えて、その管理下に、各チームのリーダーを挟むことで、マレー系チームの従業員に直接指示をするのはマレー系リーダーになるような体制をとっています。  

―民族の壁によって、マネジメントに支障が出ていた事例などあれば教えてください。

民族の壁によって、情報伝達がうまくできないことがよくあります。以前は、本部から発信している情報と、末端の従業員たちまで届いていない、ということがよくありました。管理職の従業員が、同じ民族の部下にしか情報を伝えないのです。しかし、取引先やクライアントに対して発信するメッセージは会社全体で一つでなければいけませんから、必死に改善しました。

―どのように改善したのでしょうか?

ほかの企業もやっていらっしゃると思いますが、2012年くらいから、LINEやWhatsapp、WeChatなどのチャットアプリを利用して、部署、ディビジョン、チームごとにグループチャットを作り、そこですべて情報共有するようにしました。 こうすることで、あまり人を介さず、末端まで情報伝達できるようになり、管理職による情報コントロールができないようになりました。っまた、既読表示機能ですべての従業員が確認したかどうか把握でき、かつ、メールよりもリアルタイムで確認しやすいメリットもあります。 今では社員だけでなくヤクルトレディまで、私が指示を出すと、だいたい2時間くらいで、末端まできちんと情報が行き届いている状態になります。今後の理想としては、ヤクルトレディまでではなく、各ヤクルトレディが販売している先の顧客まで、情報が瞬時に届くよう徹底したいですね。

―チャットアプリを利用するようになってから、実際、どのような効果がありましたか?

情報がしっかり開示されるようになったことで、それまでしっかりと情報を部下に伝えていなかった管理職は、部下からの信頼を失い、退職していきました。3~4年前ですが、一時期、管理職が急激に減り、苦しい時期もありました。 ただ、今振り返ると、そういう考え方でマネジメントしていた人がいなくなった中で、しっかりとマネジメントできるような人材をマネージャーに押し上げることができ、最終的には組織の強化につながったので、劇薬でしたが、やってよかったと思っています。 やってみて初めて分かったことですが、日本人でも、情報コントロールによって、マネジメントしている人もいるのだなと。少しショックでしたね。 情報をコントロールしてマネジメントするのではなく、情報を全部伝えたうえで、その情報をどう活用して成果を出すか、そういうマネジメントができる人材を増やしていきたいです。 (次ページへ続く)

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記事の監修

日本でクラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」を開発し、国内シェア トップクラスを獲得したメンバーが、その海外展開として東南アジアへ進出。徐々に人事管理が浸透してきている東南アジアでも勤怠管理システムや人事管理システムを提供し、ローカル企業のクライアントも多数。

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