2020年7月マザーズ上場 サンアスタリスクが語る「東南アジアマーケットの可能性」@Yappan-Go ASIA Summit 2020 session#1 | アジア全域進出企業インタビューならヤッパン号


2020年7月マザーズ上場 サンアスタリスクが語る「東南アジアマーケットの可能性」

株式会社Sun Asterisk 代表取締役  小林 泰平
株式会社Sun Asterisk 共同創業者 執行役員 藤本 一成
  

2020年7月マザーズ上場 サンアスタリスクが語る「東南アジアマーケットの可能性」

2020年9月、東南アジアでのビジネスを展開している日本企業・日本人起業家にスポットを当てたイベントYappan-Go Asia Summit 2020がオンラインで開催された。2013年にベトナムで事業をスタートし、2020年7月にマザーズ上場を果たした株式会社Sun Asteriskから代表取締役 小林 泰平 氏と共同創業者 執行役員 藤本 一成 氏をお招きしたセッションの様子をお伝えする。(モデレーター Ishin SG 永井貴之)

自社紹介をお願いいたします。

小林:「誰もが価値創造に夢中になれる世界」を目指すデジタル・クリエイティブスタジオを運営しており、新しい事業を作るお手伝いをすることでデジタライゼーションを進めて行きたいと思っています。現在4か国、1500人くらいを社員として抱え、事業を起こしたい方のお手伝いをしています。

 デジタルトランスフォーメーションという言葉は、日本だと企業自体や業務プロセスをトランスフォーメーションしたいという文脈で語られることも多いですが、我々は産業の構造を変えることで、人々の生活を豊かにしていくサービスを作る支援をしています。

 事業立ち上げ・運営の支援であるCreative&Engineering、大学内でカリキュラムを提供するなどIT人材の発掘や育成・紹介を手掛けるTalent&Platformという2つのサービスを提供しています。Talent&Platformは、もともとJICAがベトナムでIT人材をODAで育てる事業をしていて、それが終了した際に我々が持ち出しで引き継ぐことにしました。該当大学入学時に日本で働きたいという方に大学の中で選抜のITコースを運営しています。

 留学だけではなく雇用を生むところまで拡大しており、JICAから世界中の大学にこの話を紹介してもらっています。今年はインドネシアとマレーシアでもコースをスタートさせました。どの国にも世界を変えるイノベーターの種は同じ比率で存在していると思っていて、その種を発掘していきたいと思っています。

ーこの6、7年で急成長されていると思いますが、起業の経緯、この間の成功要因や危機があったのか等をお伺いできますでしょうか。

小林:もともと藤本は中古車を海外に輸出するビジネスをしており、そのシステム開発をベトナムの知り合いの会社に依頼をしていました。ただ日本からのリモートではマネジメントがなかなかうまくいかなくて現地に行ってプロジェクトマネジメントをしたら上手くいきました。その後その会社の現地社長が辞めてしまい私がベトナムに残って一時的に経営者を引き受けることになりました。

 もう一人の創業メンバーである平井がスタートアップを連続で生み出せるような事業をしたいという想いを抱えていて、そこでベトナムでビジネスをはじめることになり、僕も誘ってもらい創業しました。ネズミがでるようなビルでLANケーブルがネズミにかじられていて繋がらないというような環境からスタートしています。

 

ー同様に悩んでいる日本企業が多かったのでしょうか。

藤本:2010年当時はベトナムでのシステム開発は難しいというのが日本企業の共通認識だったと思います。中国と日本の関係性悪化で中国のみにシステム開発を集中することがリスクだと認識されはじめ、チャイナ+1という言葉がでてきた頃でした。そこで中国以外の国が注目されるタイミングだろうと感じてそこにビジネスチャンスがあると思いました。どの国がチャイナ+1の候補になるかを探すためにアジア各国を回っているときにベトナムに目を付けました。当時はベトナムのシステム開発は安かろう悪かろうというイメージだったのですが、エンジニアの教育や意識付け、クオリティマネジメントをしっかりと行えば品質は担保できるだろうと初期から努力してきました。

 

小林:ベトナムとリモートで仕事をしている中で、優秀で貪欲でどんどん学んでいく人たちがいて、彼らにやってもらう仕事はコスト削減のための仕事ではなく、もっとクリエイティブな仕事であるべきと感じました。基幹システムの運用保守ではなく、新規事業に特化した結果、エンジニアに「仕事そのものが楽しい」という感覚を持ってもらうことができました。競合もおらず、価格競争にも巻き込まれなかったということも良かったのかもしれません。

 

藤本:当時ベトナムにある開発会社は運用などの比較的単純な作業を受けている会社が多く、ベトナム人エンジニアも言われたことをやればいいというマインドに慣れていたところがあります。それを、ユーザーはどういう気持ちで使うのかとか、こういう風にやったらもっと便利になるのではないかということを一人一人が考えていかないと、エンジニアとしてのバリューが上がらないし、スキルも上がらないという風に意識付けを変えていく必要がありました。できれば早く帰りたい、同じ作業量で給料をもっともらいたいと考えてしまいがちですが、意識を変えて優秀なエンジニアになることがエンジニア個人のためにも会社のためにもそして国のためになるんだということをよく言っていました。

 

小林:会社としては規模がGAFAに勝てなくても、1エンジニアでいえば、能力さえあれば闘えるので、そこに勝てるようなところまで成長させていこうということを毎日のように言っていましたね。

ー日本企業はどうしたらグローバルに活躍できるでしょうか。

藤本もう、海外の色々な国に行ってしまえばいいと思うんです。僕はどこの国に行ってもだいたい大学を見て回るのです。友人の結婚式でウズベキスタンに行ったときも大学に知り合いいないかと聞いて回って翌日アポを取りました。タクシーの運転手さんに一番いい大学に連れて行ってほしいと言って大学につれて行ってもらったこともあります。とにかく色々な国に行くことが大事だと思います。

 

小林やはり現地に行ってみないとわからないことが本当にたくさんあります。現地に行って色々な人に会って体感するということ。日本企業はとりあえず行ってみようということへの腰が重いと思います。あとは、社内のエース人材を送り込むことも重要です。国内でも事業を立ち上げるのは難しく、海外でそれをやるのが難しいのは当たり前なので、そこに一番優秀な人を送り込むしかないと思います。

ー海外で成功しているビジネスのカギは何でしょうか。

藤本:共通しているのはやはり、情熱と覚悟があることですよね。人件費が安いから行くというのは古くて、日本では見つけられないような才能あふれる人と成長するマーケットでやっていきたいという情熱があること。そういうところで人生かけてこの国をよくするんだ、世界を変えるんだというような強い思いを持っている人が成功していると思います。

 

小林:最近思うのは、カテゴライズすることは思考を狭めてしまうと思うんです。日本人だからこう、ベトナム人だからこうというのは特にないはずで、固定観念をなくして人をきちんと見ることができている人は信頼関係をきちんと築けていると思います。

 

藤本:腹を割って話せて、親友と呼べるような仲間と苦楽をともにするチームを作るということが大事ですね。

  

ー日本企業の優位性はありますか?

藤本:色々な国を回っていて思うのは、親日国が多いということです。日本の文化が好きだとか、この橋や高速道路は日本がODAで作ってくれたんだとか聞きます。そういう人たちは日本人というだけで話は聞いてくれるしやりやすいと思います。

 

小林:逆に優位性はそれくらいしかなくて、それは先人たちが築いてきたものがぎりぎり残っているだけで、日本企業だからということではないと思っています。ただ敢えて言うならUXは優れているということがあって、そこはどの国行っても結構雑なUI、UXが多いので、ユーザー視点に立って設計されたものを知っているというのは優位性になるのではないでしょうか。

 

藤本:日本人の学生は「英語も話せないし、パスポートも持っていない」とネガティブに考える人が多いのですが、日本で生活した経験があるだけで洗練されたサービスに触れてきたというのは大きな意味があります。海外で生活すればすぐに100個くらい改善点に気付けるのではないでしょうか。たとえばお菓子1つとってもパッケージが開けやすいとか小分けになっているとか、そういったセンスを持っているというのは大きな優位性になると思います。

ーもう一度アジアで仕掛けるなら何をされますか。

小林:国にはこだわりがないのですが、もう一度やるとしても同じビジネスをしますね。デジタル化の遅れ等の日本の詰んだ状況を打破するには、まず今取り組んでいる課題解決をやらないと次に進めないと思っています。

 

藤本:アジアは2040年くらいまでは人口が伸びます。伸びているところでビジネスをするというのが王道です。日本ではすでに斜陽産業になっているものでも海外ではこれから成長するサービスやモノがたくさんある。そういうものを見つけて海外展開するのも面白いと思います。

ーアジア事業へのアドバイスをいただけますか。

小林:ITは小さくスタートすることもできるので、まずは踏み出してみるということではないでしょうか。

 

藤本:ほぼ同じですね。そこでやるという覚悟を決めてやる必要があると思います。そうしなければその国の社員や顧客にも伝わらないと思います。

ー参加者からの質問です。アジアの国ではジョブホッピングが激しいと聞きますが、どのように取り組んでいますか?

小林:ベトナムもそうなのですが、なぜジョブホッピングが多いかを考える必要があると思います。それをヒアリングすると、会社の中で昇給していかないから、転職をして給料を上げようとすると。であれば、社内できちんと昇給させていけばいいということになりますよね。

 

藤本:ジョブホッピングのデメリットを説明していくことも大事かなと思います。個人の収入だけではなく、彼らがベトナムの国の未来を作っていく必要があると伝えます。どういう未来を作りたいのか、作るべきなのかという話を定期的に一緒にしています。そのためにはこういうスキルを持っている人が足りないよね、世界でトップクラスの人材になって下請けではなくお客さんと対等の立場に立てるということ、そういうことができるエンジニアを増やしていかないといけないよね、ということを一緒に考えていくことではないかと思います。

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