人と"ローカルビジネス"をつなげることで世界に大きなインパウトを与えたい | 世界全域進出企業インタビューならヤッパン号


ローカルビジネスで世界に大きなインパウトを与える

Yelp Inc. Yelp Inc. ジェレミー・ストッペルマン(Jeremy Stoppelman)

ローカルビジネスで世界に大きなインパウトを与える

『Yelp 』は、ローカルビジネスとユーザーをつなげるクチコミサイトとして、2004年にアメリカでサービスを開始。現在では、今年の4月に進出した日本を含め、世界28ヵ国に進出をはたしている。2009年には、Google社から5億ドルでの買収話もあったことでも注目を集めた。CEOのジェレミー・ストッペルマン氏に、事業の詳細や起業の経緯、今後の日本での展開などを聞いた。

※下記はTech通信Vol.1(2014年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

 

レストランだけでなく 地域情報を網羅

―『Yelp』はどんなサイトですか。

ローカルビジネスと人々をつなげるクチコミサイトです。地元の人たちが知っているお気に入りのお店情報が満載で、カテゴリー別でみると23%がショッピング、20%がレストラン、ほかにも病院やフィットネスなどジャンルが幅広いのが特徴です。

日本にも『食べログ』というサイトがありますが、大きく違うのはレストラン情報に限っていないというところでしょう。たとえば『Yelp』で探したショッピングやレストランを利用したあと、近くの公園や美術館など、ついでに立ち寄れる地域情報を一括して見られるという点も特徴です。

サイトを立ち上げた当初は、その店がオススメかどうかをユーザーが質問し、ほかのユーザーの推薦を集める機能が最大のウリでした。しかしサイトを運営するにしたがい、投稿者が書いた店のレビューが注目されているのがわかったのです。そこで、レビューをもっと気軽に情報共有できる現在のクチコミサイトに方向転換してきました。

―ローカルビジネスに注目した理由を教えてください。

2004年の創業当時、どの市場を狙うべきかを考えていたころ、『Yellow Page』という情報誌に目をつけました。日本でいう『タウンページ』のようなものです。

この『Yellow Page』は地域密着型の情報誌で、100億円の規模のビジネスとして成功をおさめていました。しかしネットの世界では、同じようなものがないということに気がついたのです。アメリカの全企業数は約2,500万社ですが、そのうち従業員数500人以下のローカル企業が99.9%を占めているといわれています。つまり、ローカルビジネスをネットでつなげるビジネスをいち早く始めれば、100億円規模の事業に成長するのではないかとひらめいたんです。

 

―そもそも起業しようと思ったきっかけはなんだったのでしょう。

私は10代からテクノロジーに興味があり、技術の仕事に就くのが夢でした。カード決済サービスを提供するPayPal(ペイパル)に勤めていた2000年ごろ、私はまだなにをビジネスにすべきか考えあぐねていました。しかしPayPalの起業家3人を見たとき、テクノロジー分野では、たとえどれだけ若くても自分でリスクさえ負えば、チャンスをつかめる世界ではないかと思うようになりました。そこで、同僚と2人でYelpを立ち上げようという話になったんです。

 

3つのこだわりにより世界28ヵ国で人気を獲得

―『Yelp』は現在、28ヵ国で利用されています。ここまで人気を集めた理由はなんでしょう。

人気の理由は3つ挙げられます。
(1)現実世界でのコミュニティがある
(2)モバイルへの最適化がうまくいった
(3)レビューの質にこだわったシステムをつくった

1つ目について説明すると、サイト対象エリアの122都市すべてにコミュニティマネジャーを実際に配置しています。その担当者が主導して、サイト内のレビューを書いてくれる人を集めてイベントを実施。ネット上だけでなく、現実世界で会うことで信頼できるコミュニティを形成しているのです。つまり、リアルに人とつながることで、より信頼できるクチコミ情報が集まるという仕組みになっています。

次に、モバイルへの最適化をいち早く行った点。サービスを開始した2004年は、スマートフォンが登場していないモバイル黎明期。私たちはiPhoneの登場を知った後、すぐにiPhone 用のアプリケーションを開発する投資を決意。当時、15人しかいなかったエンジニアのうち、2人をアプリケーション開発に当てました。優秀な人材を2人も割り当てることはリスクもありましたが、近い将来にスマートフォンの市場が大きくなることは誰の目にもあきらかでしたから、準備万端の状態にしたんです。

最後に、レビューの質について。アルゴリズムの詳しい内容については話せませんが、信頼できるクチコミとそうでないものをシステム上で自動分別されるようにしています。75%は信頼できるものですが、残り25%はそうでないもの。25%については、別のページに表示されるようにしているのでユーザーも安心というわけです。

―2009年にGoogle 社から5億ドルの買収話が持ち上がったものの、それを拒否して翌年にNY市場に上場しました。なぜ買収話を断ったのですか。

『Yelp』をさらに成長させるためです。買収のオファーが来たとき、当社の業績は右肩上がりの状態でした。これからもっと伸びると予測していましたし、価値がもっと上がっていくのは目に見えていました。だからこそ、自分たちの力で伸ばしていこうと考えたのです。

そもそも、いまでは世界に名をはせるGoogle 社も、成長している段階では同じような買収話があったはず。しかしそれに乗らずに、自分たちの手で会社を大きくするというリスクを取った。だからこそ、いまのGoogle 社が存在しているのではないでしょうか。実際に私たちの予測どおり、当社の業績はさらに上向きとなり、買収話があった2009年後半と比べて、会社の価値は10倍になりました。

 

―なかには目先の利益に飛びついてしまう経営者もいると思いますが。

確かにキャピタルゲインを得るという選択肢もありましたね。では、もっと根本的な話をしましょう。私は『Yelp』の買収話があったとき、すでに世の中に大きなインパクトを与えられるようなビジネスになると確信していました。というのも、地域のお店を探すのにいいサイトだという評判が広がっていたからです。投資も引き続き受けられる状態で、財務状況も良好。そのため、目先の利益に惑わされることがなかったんです。

「成功=利益を得る」という考えもあります。ですが、私にとっては世界に大きなインパクトを与えるビジネスをしたり、すばらしいチームをつくったりすることのほうが重要でした。Google 社から買収の話が持ち上がったときには脅威を感じたというよりも、「これほど注目されるなら、このビジネスは必ず成功する!」という確信を持つきっかけになったのです。

 

技術革新に対応するため製品に絶えず触れることが重要

―ジェレミーさんが経営において重視しているものはなんでしょう。

経営において一番時間を費やしているのは、「製品の企画・開発」です。私はエンジニア出身なので、すごいスピードでテクノロジーは日々進化していることを知っています。経営者として正しい判断をするためには、つねに製品に触れていないと、技術革新の波に乗り遅れてしまう。そうならないためにも、企画・開発する時間は重要だと感じています。

もうひとつ重要なことは、エグゼクティブチームに厳しい評価ができる優秀な人材を配置することでしょう。なにか問題が起こったとしても、正しい人材を正しいポジションに配置しておくことで、正しい処理ができると感じているからです。今後もこれまで以上にチーム力の強化に努めていきたいですね。

 

アジア進出において日本は重要な拠点である

―今後のビジョンを教えてください。

現在、日本を含めると世界28ヵ国に進出し、月間のサイト訪問者数は平均1億3,800万人。そのうちモバイルデバイス経由の訪問者は、月間約6,800万人にもおよぶサイトに成長。欧米ではすでに大きなインパクトを与えていると感じていますが、さらにサービスを広げていきたい。アジアではすでにシンガポールに進出していますが、これから日本はアジア圏内における重要な拠点になるのは間違いないでしょう。

欧米ではApple社がSiriやApple地図のなかに『Yelp』情報を組み込んで表示しています。日本ではまだどうなるかはわかりません。しかし組み込まれるようになれば、日本でも人気が広がるでしょう。

 

―最後に、学生や若手起業家に向けてメッセージをお願いします。

成功するためにアドバイスは2つあります。ひとつは、ニッチな市場よりもより大きな市場を選んで進出すべきということです。『Yelp』も『Yellow Page』のネット版の先駆者になることで成功することができ、世界進出も実現できたのです。

もうひとつは、どんな事業でもいいから、とにかく自分が夢中になって取り組めるものを見つけるということです。みなさんが考えている以上に、ビジネスを成功させるのには時間がかかります。かくいう私も『Yelp』にこれまで10年という歳月を費やしていることからもおわかりいただけると思います。ぜひみなさんも夢の実現に向けて、リスクを負うことを恐れずにチャレンジしてください。

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