【海外の人材マネジメント特集】思うように進まないアジアでの仕事。ロジカルでストレートなコミュニケーションが打開策に。2/2 | タイ、インドネシア、ベトナム進出企業インタビューならヤッパン号


【海外の人材マネジメント特集】思うように進まないアジアでの仕事。ロジカルでストレートなコミュニケーションが打開策に。

Macromill South East Asia Thailand  Managing Director 伊吹 秀一郎(Shuichiro Ibuki)

【海外の人材マネジメント特集】思うように進まないアジアでの仕事。ロジカルでストレートなコミュニケーションが打開策に。

タイ、インドネシア、ベトナムと展開するMacromill South East Asia。
タイ拠点代表の伊吹 秀一郎 氏にアジアでのご経験と、業務を円滑に進めるコミュニケーションについて伺った。

伊吹様のご経歴についてお聞かせください。

関西学院大学を卒業後、大手芸能プロダクションの社員をしていました。そこで3~4年ほど芸能人のマネージャーやタレントをコンテンツとした番組制作を経験しました。

その後、W&Sの元となるワールドワイドシステムというWebシステム会社の大阪営業所の立ち上げに参画しました。

Webシステムやマーケティング等の業務に従事するなか、自身の勉強意欲の高まりから、大阪市立大学の大学院で新規事業立ち上げに関する研究科に入りました。

そこで、ベトナムにおけるオンラインリサーチの可能性を知り、“実際に事業にしたらどうなのだろう?”と、当時のワールドワイドシステムの社長に話をすると、「立ち上げよう!」という話になりました。

その後、実際にベトナムでW&Sを立ち上げ、インドネシア、タイへと拠点を拡大させていきました。立ち上げはすべて社長が行っていましたが、私も企画段階から携わっていたため、実際に事業運営を経験したいと手を挙げ、タイ拠点を担当することになりました。

▼タイでの現地スタッフのマネジメントにおいて、日本人とは異なる特徴や苦労されたご経験などはありますでしょうか?

弊社にいるタイ人スタッフは典型的な“ホワイトカラー”で、いわゆる“ブルーワーカー”と呼ばれる方々に比べ学歴が高いです。

“そういう人たちでさえ”というお話にはなってしまいますが、仕事の進め方については非常に苦労しています。基本的に最後に帳尻が合えば良いという感覚で仕事を進めているのです。

もしかすると日本人が世界的に特殊なのかも知れませんが、日本人の良しとする仕事の進め方は“報告・連絡・相談をきっちりと行うこと”だと思います。日本では半年間のプロジェクトであっても、少なくとも週に1回は進捗報告会を設けると思いますが、タイでは基本的にそのような機会を持つことはありません。

タイではどんなに優秀な人材であってもこの考え方が無いことがあり、実際に現場では「ホウレンソウ」という言葉を用いて共通認識を図っています。お互い人間ですので、どうしても忘れてしまう事もあります。そのため、チームのアウトルックで定期的に進捗報告のリマインダーを設定するなど、ある程度仕組み化して考えが浸透するよう努めていますね

ここがクリアできないと、クライアント、特に日系のお客様にご満足いただけるサービスレベルにならないので。

▼マネジメントされる中で意識されていることはなんですか

感情の起伏を出さないということです。
小さいことかもしれませんが、忙しい時であっても忙しそうにしないとか。感情的になると大概失敗してしまいます。

また感情の起伏を出してしまうと部下に怖がられるようになります。ポジション的に一番上なので、第一線での営業もしませんし、求職者と話す機会もあまりありません。ということは現場から一番遠いんですよね。立場的に怖がられると、現場の意見が正しく入ってこなくなります。そうなると、自分の意思決定を間違えてしまう

現場の意見が正しく入ってくるようにするためには、メンバーやリーダーにある程度距離が近いとか、話しやすいといった環境でないといけません。悪い意味で自分に跳ね返ってくるものなので。

▼「ホウレンソウ」の考え方について、タイ人スタッフはスムーズに受け入れられたのでしょうか?やはり反発などもありましたか?

もしかしたら内心ではいろいろと思っていることがあるかも知れませんね。「日本人は細かすぎる」など。。しかしそこは仕事としてやってもらわないと困りますので、理解できるまでコミュニケーションをとり続けています。

反発という点で、社内ではなく現地の外注先とのトラブルのエピソードがあります。

外注先にも「ホウレンソウ」を、特に報告=情報のアップデートをお願いしています。業務を協同で進める上で、週に1回の報告を求めたところ、「なんでそんなに報告しなければならないのですか?」と言われてしまいました

結局その外注先は納品期日直前に連絡がつかなくなり、弊社内は騒然としました。何とか他の協力会社にお願いし、納期には間に合いましたが、アジアで納期通りに仕事を進めることの難しさを痛感しました

▼マネジメントをされてこられた中での成功体験についてお聞かせください。

成功体験という事ではないかも知れませんが、弊社では“一度辞めた人が戻ってくる”ということがよくあります。タイ人をはじめとして、アジア人材は会社を辞めることに抵抗がないです。ジョブホッピングという言葉があるくらい、退職することは普通です。

しかし弊社を退職し、他社を経験したり、大学院を卒業したりした人材が、後々戻ってくるケースがあります。

決して甘やかしているつもりはないですが、「働きやすい」や「働いていてよかった」と言ってもらうことは多いですね。

▼それは素晴らしいですね。日々のコミュニケーションで心がけていらっしゃることがあるのでしょうか?

タイ人スタッフとの関わり合いにおいては絶対に怒らないようにしています。
この怒らないという事は、決して“甘やかす”ということではありません。

怒る・叱ることはしませんが、「誰に」「いつまでに」「なぜ」この作業を行って欲しいという事を、なるべく具体的にストレートに伝えるよう心がけています。

日本人同士のコミュニケーションでは主語が抜けることも多く、曖昧なまま物事が進んでいくことも少なくありません。私自身がタイ人スタッフとのコミュニケーションでそうならないよう、ロジックを大切にしたストレートなコミュニケーションを目指しています。

内容がなかなか伝わっていないなと感じる時は絵を描いて説明を行うこともあります。とにかく現地のスタッフが納得して、ゴールに向かってアクション出来ることを重視しています。

▼コロナウイルスの影響がある中で、マネジメントにおける変化はありますでしょうか?

弊社ではコロナウイルスの影響を受け、在宅勤務を許可しました。

在宅勤務になり、自宅でサボらずしっかりと働いているかということへのチェックについては頭を悩ませています。これは弊社に限った悩みではないと思いますが。

現状はスプレッドシートを用い、行動予定と完了予定のアップデートを行う仕組みを作って管理しています。

しかし先ほどから申し上げているように、「ホウレンソウ」に対する意識が高くない国ですので、あまりに求めすぎることで社員のモチベーション低下に繋がらないかと心配もしています。

最後に、今後のビジョンや展開について教えてください。

会社としてはMacromillのグループとなり、より大きなミッションが与えられていると感じています。組織としてさらにスケールアップし、お客様の期待にお応えできるよう尽力してまいります。

また会社が大きくなり、従業員にとってはキャリアの選択肢が広がったと考えています。スタッフのモチベーションを上げながら、彼らにとってより良いキャリアパスが描けるようマネジメントできればと思います。

タイのみならず、インドネシア拠点・ベトナム拠点との連携を強化し、個人としても影響力を発揮していきたいですね。

 

日本でクラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」を開発し、国内シェアNo1を獲得したメンバーが、その海外展開として東南アジアへ進出。徐々に人事管理が浸透してきている東南アジアでも勤怠管理システムや人事管理システムを提供し、ローカル企業のクライアントも多数。

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