いつもお世話になっております。
Tokyo Consulting Firmのデリー駐在員の武田麻利奈でございます。
日頃ご愛顧頂いている皆様へ有益な情報をお届けしたいと考えております。
ご質問などございましたらお問い合わせ下さい。
今月は「私ならこうする!9月号~インド会計年度の変更と会社法一部改正情報~」を配信させて頂きます。インド会社法に即したコンプライアンス無料レビューのお知らせもございますので是非ご一読ください。
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Topics
1.9月~11月の主な出来事と期限
2.インド会計年度の変更について
3.改正施行されるSecretarial Standards – 1について
4.GST申告期限の延長とReverse Charge Mechanismについて
5.コンプライアンス無料レビューのお知らせ
6.会計・人事勉強会のお知らせ
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1.9月~11月の主な出来事と期限
・9月07日(木)まで:TDS支払
・9月15日(金)まで:法人所得税・個人所得税の中間納付
・9月20日(水)まで:8月分簡易版GST申告(GSTR3B)※変更の可能性あり
・10月10日(火)まで:7月分仮受GSTの申告(GSTR-1)
・10月31日(火)まで:7月分仮払GSTの申告(GSTR-2)
・11月10日(金)まで:7月分支払いGSTの申告(GSTR-3)
2.インド会計年度の変更について
インドの会計年度は皆さんご存知の通り4月1日~3月31日ですが、近年1月1日~12月31日に変更する議案が出ています。財務省のArjun Jaitley氏の議会での発言によると2018年から変更とのうわさもありました。しかし、今年度よりGSTが導入され、政府もその対応に追われていることもあり、2018年度からの変更の可能性は低いと考えられます。その中で唯一、マディヤ・プラデーシュ(インド中央部の州)は2018年度より会計年度が1月1日~12月31日へと変更する事が決まっています。
そもそも、なぜ会計年度が変更となるのでしょうか?1867年にインドはイギリスのそれに沿う形で会計年度を4月1日~3月31日と定めましたが、次期モンスーンの予想と政府の予算案時期が異なっている、中国やヨーロッパ諸国等の会計年度と異なる等々の理由からモディ首相はGSTの次なる変革となりうる会計年度の変更を提案しました。
この会計年度の変更、次のインド予算案(2018年2月)で2019年1月1日から変更となる話も出ています。今後の動向を追っていきたいところです。
3.改正施行されるSecretarial Standards – 1について
会社法のSecretarial Standards – 1(以下「SS-1」)が改正され、2017年10月1日より施行されます。下記、重要な変更点をご紹介します。
【SS-1の適用範囲】
SS-1は全ての会社が順守する義務がありました(Section 118 (10))が、当改正により規定が緩和され、以下の企業には適用されなくなります。
・取締役が1人のOne Person Company(「OPC」)
・2013年会社法第8条(「CA 2013」)に基づいて認可された会社
【取締役会の開催日】
従来は祝日に開催することが認められていませんでしたが、当改正により、祝日開催が可能になりました。
【取締役会招集通知の保管】
従来、取締役会収集通知を送付した証拠を会社が保管しなければならないとの規定がありましたが、取締役会が開催されてから少なくとも3年以上保管しなければならないと、期間が明記されました。
【取締役会議事録の保管】
従来、取締役会議事録を送付した証拠を会社が保管しなければならないとの規定がありましたが、取締役会で決定された3年以上の期間は保管義務があると明記されました。
【取締役会の開催頻度】
取締役会は四半期に1回、年間で計4回開催し、前回開催日から120日以内に行う必要があるとの規定がありました。当改正により、四半期に1回開催しなければならないという規定が緩和されました。年間計4回、各役会開催日の間隔が120日以内であるとの規定に変更はありません。
【議事録に含まれていない議題】
従来の規定では、取締役会の議事録に含まれていない議題項目は議長の許可を得て、少なくとも1名以上の独立取締役を含む過半数の取締役の同意を得ることが必要でしたが、当改訂により、会議に必ずしも独立取締役が出席していなくても良いという規定に緩和されました。
その他、下記の内容に変更点があります。
・会議の開催場所の規定
・Committeeの定義
・電子的手段による参加規程
各詳細についてご不明点や質問点がありましたら、お気軽にお問合せください。
4.GST申告期限の延長とReverse Chargeについて
7月1日のGSTの導入から約2か月が経ちましたが、まだまだ対応に追われている方も多いのではないでしょうか。さて、初回のGST申告のために当局のGSTウェブサイトにはアクセスが殺到し、システムが一時中断したことを受け、インド政府は先日、7月の取引にかかるGST申告期限の更なる延長を発表しました。
<7月分取引にかかる申告>
GSTR-1:10月10日(火)
GSTR-2:10月31日(火)
GSTR-3:11月10日(金)
また、8月分取引にかかるGSTの申告期限は現時点で以下となっていますが、延長される可能性が高いと考えられます。
<8月分取引にかかる申告>
GSTR-1:10月5日(木)
GSTR-2:10月10日(火)
GSTR-3:10月15日(日)
上記の度重なる延長が発表されている通り、請求書番号やGST番号等の詳細の記入、GSTコードの未登録者や各エンドユーザーへの請求にかかる供給者側での申告など、申告準備に時間を要するため上記の延長期間では間に合わないとの意見があり、さらに申告期限が延長される可能性もありそうです。
さて、上述したGSTコードの未登録者がもしも、あなたのベンダーだった場合、GSTはどうやって課税され、どのように支払われるのでしょうか?
通常、供給側が物やサービスの販売を行い、購入側が物/サービスの代金とともにGSTを供給側に支払います。その後、供給側が政府にGSTを納付するという流れです。
しかし、これは供給側がGST登録を行っている前提でのスキームとなり、もし規模の小さい会社やお店など、GST登録を行っていない供給側から購入した場合、代わりに購入側がインド政府にGSTを納付する必要があります。このスキームをReverse Chargeと言います。
ただし、このスキームは州をまたぐ取引の際にのみ有効となります(=IGSTの支払い)。
また、1日に5,000ルピーの購入を行った際のみ有効と定められています。(Notification No.8/2017-Central Taxより)
インドにはまだまだ小規模の会社や個人店が多い中、同じくGSTの恩恵を受けられるようにと導入されたこのReverse Chargeのスキームですが、購入側は反対に納付の負担が増えるため、GST未登録者との取引が多い方は注意していく必要があるでしょう。
5. コンプライアンス無料レビューのお知らせ
先月から会社法に即した無料コンプライアンス監査を開始致しました。
本サービスは、多くの日系企業様からコンプライアンスに対するお問い合わせを頂戴する中で誕生いたしました。当業務は弊社のCS(会社秘書役)が行います。
【監査内容】
1.各種必要ライセンスの取得状況を確認する
2.FEMAが規定するコンプライアンスの実施状況を確認する
幸いにも沢山のお問合せを頂き、当無料監査におよそ1か月の時間を要しておりますこと、お含み置きください。また、就業規則の無料レビューサービスも引き続き行っております。
6. 会計/人事勉強会のお知らせ
毎月、当社のインド4拠点にて、会計・人事勉強会を実施しております。基礎から実践の方法までお伝えしますので、今後の運用にすぐお役立ていただける内容となっております.
各拠点にて扱うテーマが異なりますので、以下詳細をご確認下さい。
<勉強会概要>
http://www.kuno-cpa.co.jp/document/201708india.pdf
<開催地>
デリー/バンガロール/ムンバイ/チェンナイのTCFオフィス
<参加料>
無料
<開催時間>
17:00~18:30
Delhi 担当:武田麻利奈
9月28日(木) – テーマ3 人事制度の全体像とポイント
Chennai 担当:中村匠吾
9月28日(木) – テーマ4 インド会社法と各種コンプライアンス
参加をご希望の方は本メールへ返信をお願いします。
返信本文に下記ご記入ください。
・参加希望の勉強会(例:9月14日 デリー勉強会 テーマ2 移転価格制度とSVB関連性と注意点)
・貴社名
・参加者のお名前
・参加理由
※ご都合の悪い方、ご希望のテーマがない方は、ご希望のテーマと日時をご提案の上、
ご相談いただければと思います。
Tokyo Consulting Firm Pvt. Ltd.
武田麻利奈
本記事の執筆者
株式会社東京コンサルティングファーム
武田 麻利奈
「2013年入社。国内では、人事総務分野を得意とし顧客のサポートを行い、2016年9月にインド法人デリー本社に赴任。インドでは、就業規則の作成や人事評価制度構築などHR分野を中心に日系企業の抱える問題の解決支援を行っております。