【海外の人材マネジメント特集】ー現地の従業員と同じ目線でー | アジア 人事管理 人材マネジメント進出企業インタビューならヤッパン号


【海外の人材マネジメント特集】現地の従業員と同じ目線で

Miyakawa Corporation (Thailand) Co., Ltd. Managing Director 佐藤 亮

【海外の人材マネジメント特集】現地の従業員と同じ目線で

中途入社1年半、29歳の若さでタイ支社の社長に。異色な経歴を持つ佐藤氏にタイ現地での人材マネジメントについて聞いた。

海外における御社の概要についてお聞かせください

日本国内では液晶やLED等を扱うメーカー・商社です。タイ支社では、主に、日本の火災報知器ブランド ホーチキの代理店業務、バレル研磨機と副資材等の販売、切削油の販売、の3つの事業を行っています。販売だけでなくサポートもしていますが、人数が限られているので技術的なサポートが必要な場合は下請けにお願いしています。それ以外にもLEDや刻印機も扱っています。 従業員は、タイ人が19名・日本人は私1人です。タイの拠点は一箇所で、扱っている製品が工業系ですので、北はチェンマイから南はラヨーンまでの工場を駆け回っていますので、オフィスにいることは少ないですね。

日本人お1人という環境と伺いましたが、どのように現地スタッフのマネジメントをされていらっしゃいますか?

弊社の従業員の多くは勤続10年以上と長く、社内研修なども社員同士で行っています。福利厚生として毎年の社員旅行、それ以外にも食事会や運動会も開催するなど、ファミリー的な雰囲気があり、それがタイの従業員にとって居心地のいい会社となっているのだと思います。そのお陰で日本人社員が私一人だけ、という状況でもうまくまわっているのだと思います。 とはいえ、やはりまだまだ従業員に全てを任せられるわけではなく、私が出て行かなければならない案件が殆どで、全てのことを自分一人がやらなくてはならず、そこは改めていかなければなりません。 人材マネジメントについては、所謂アメとムチというところで、勤続30年以上の経理の女性スタッフが勤務時間や勤務態度にはうるさく言う一方で、私はそういうところでは甘い方だと思います。事務所の私の席も、“日本人社長が従業員を管理する”というような配置ではなく、敢えて社員の真ん中に置いたり、タイの企業ではよくある皆勤賞などの基準をそこまで厳しくしないようにしたりと、社員の働きやすさに重点を置いています。

 人事評価や勤怠管理についてはどのようにされていますか?

基本給料等は全部私が決めて、表をつけて点数化もしていますが、目標管理やそれに基づく業務進捗・管理はしっかりとできてないのが現状です。給与はインセンティブ制ではなく、固定給与です。給与自体は高い方ではありませんが、手当て的なものは割と出している方だと思います。 あとは、最近はエンジニアの超過勤務が課題です。工場のラインを止められない関係もあり、どうしても土日出勤や残業が発生するため、社員が疲弊しないか心配です。 勤怠管理についてもしっかりとしていない部分があって、コンサルタントの方にも伸びる要素はまだまだあるのにもったいないと言われたことがあります。 “居心地はいいが成長はしない”ではいけないと思うので今後の課題ですね。急に変えるのも難しいですから、少しずつ改善できればいいなと思っています。

ビジネスにおいて日本とタイの違いはどういったところでしょう

皆さんそうおっしゃると思うのですが、日本の働き方というのは面倒というか、プロセスが多すぎて逆にそれがマイナスになっているということがあると思います。例えば、日本側に、製品の在庫や見積もりを問い合わせると、それに被せて予定数量や見積もり背景等、たくさんの質問事項が返ってきます。まず在庫があるかないかだけを知りたいのに、と思います。 ある現地の社長さんに、“日本人は一日中会議していて何も進まない”と言われたこともあります。 もしかしたらタイ人側も、“日本人と働くのは大変だ”と思っているかもしれません。 またタイに関して言えることは、“時間の感覚がずれている”ということです。 基本的に納期に3日くらいは余裕を持っておかなければいけません。急かすとなんとか納期に間に合わせてくるのですが、エンジンがかかるのが遅いです。ずっとプッシュし続けていますがなかなか変わりませんね。 1週間前に約束したにも関わらず、前日のコンファームがなかったから来なかった、という事もありました。 日本での感覚を捨てて、こちらが意識して動かなければなりません。

佐藤様のご経歴と人材マネジメントにおいて大切にされていることをお聞かせください

秋田出身で、大学入学と同時に上京しました。パイロットを志望して自社養成訓練生としてJALの関連会社に採用されたものの、JALの経営破綻の時期と重なり、訓練打ち切りとなって辞職しました。その後、地元秋田で3年半ほど消防士として働いていました。楽しくはあったのですが、元々海外に行きたいという考えを持っており、もやもやした気持ちがぬぐえませんでした。その時、たまたま見つけた弊社の海外駐在員募集に応募し採用され、その後本社勤務1年ほどでタイへ赴任しました。 日本でマネジメントの経験もない私がいきなり現地法人の社長ということで驚かれるかもしれませんが、会社としてそういう文化があるのだと思います。英語もタイ語もそんなに完璧ではない中で、はじめのうちは勿論コミュニケーションのぶつかり合いもありましたが、実地で学んでいきました。 毎日様々な問題が発生しますが、それに対処し続ける中で成長できていると実感しています。海外での仕事・マネジメントというのは、会社経験というよりは、人生経験が豊富な方がうまくやれるのではと感じています。 タイでこれまでの出会った方々・成功している会社・失敗した会社・そして前任者のやり方などいろいろ見てきて思うことは、自分たちが上から命令するというのではなく、”お願いしてやってもらっている”くらいの感覚でタイの従業員と接することが大切だという事です。私の席を従業員たちの中に置いているのも、彼らと対等な目線で、より距離感を近づけるための工夫の一つです。またタイの人は日本人以上に人目を気にするところがあり、人前で上司などから叱責されたりすることを嫌います。その様な行為は慎むなど、タイ人気質に寄せていくことが重要だと思います

最後に御社の今後のビジョンと佐藤様の目標をお聞かせください。

現在はほぼタイ国内のみで営業を行っている段階ですが、タイは既にマーケットとして成熟したと感じており、今後はタイ国外周辺国にも進出し、最終的にはローカル化を進めて現地従業員でまわしていけるようにしたいと考えています。 製品についても、外国製の品質が上がって、現地の方との商談が増えてきている中、日本製にこだわる考え方も変えていくべき時期かなと思っています。 私自身は、これまで3年半無我夢中でやってきた感じがありましたが、最近少し余裕が出てきて、自分の中でこれからはどうしたらいいかな、と考えられるようにもなってきました。 社員が家族のような会社なので、待遇をもっと改善するため、もっと効率よく業務を回すことのできるようになるために、私自身からアクションしていきたいと思います。

日本でクラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」を開発し、国内シェア トップクラスを獲得したメンバーが、その海外展開として東南アジアへ進出。徐々に人事管理が浸透してきている東南アジアでも勤怠管理システムや人事管理システムを提供し、ローカル企業のクライアントも多数。

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