平成27年10月1日以降に、国境を越えてインターネット等(以下、「電気通信回線」)を介して行われるサービス(以下、「役務の提供」)について、役務の提供を受ける国内事業者に納税義務が課される場合があります。
平成27年度税制改正で、電気通信回線を介して行われる役務の提供(以下、「電気通信利用役務の提供」)の内外判定基準が見直されました。平成27年度税制改正までは、国外事業者から受ける電気通利用役務の提供は国内取引に該当せず、消費税の課税の対象とはなっていませんでした。
しかし、内外判定基準の見直しにより、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち一部のものについては、役務の提供を受ける事業者の住所等(「住所」若しくは「居所」又は「本店」若しくは「主たる事務所」の「所在地」)が国内にある場合には、国内取引に該当し、消費税の課税の対象となります。
国外事業者が行う電気通信利用役務の提供について
国外事業者が行う電気通信利用役務の提供は、①「事業者向け電気通信利用役務の提供」と、②それ以外に区分されます。①「事業者向け電気通信利用役務の提供」については、国外事業者から役務の提供を受けた国内事業者に消費税及び地方消費税の申告・納税義務が課されます。また、当該役務の提供については、国内事業者の仕入税額控除の対象となります。
1.「事業者向け電気通信利用役務の提供」について
国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、当該電気通信利用役務の提供に係る役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいう(消費税法第二条一項八の四)。
具体的には、インターネット上の広告配信サービスや、アプリやソフトウェア等をインターネット上で販売する場所を提供するサービスなどです。これらのサービスは、消費者による利用(ネット上の広告の掲載、ネット上でアプリ等を販売する環境の利用)が基本的にないものです。
2.「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外の電気通信利用役務の提供について
1.以外の電気通信利用役務の提供は、従来通りの内外判定を行い、その役務の提供を行った事業者が消費税及び地方消費税の申告・納税を行います。
また、国外事業者から受けた①以外の電気通信利用役務の提供については、当分の間、当該役務の提供に係る仕入税額控除を制限されることとなりました(改正法附則38条一項本文)。ただし、国税庁長官の登録を受けた「登録国外事業者」からの①以外の電気通信利用役務の提供については、仕入税額控除が可能となります。
「事業者向け電気通信利用役務の提供」に関する経過措置
「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合であっても次のいずれかに該当する場合には、「事業者向け電気通信利用役務の提供」について申告等に含める必要はありません。
・一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間
・簡易課税制度が摘要される課税期間
また、「事業者向け電気通信利用役務の提供」がなかったものとされますので、当該役務の提供に係る仕入税額控除を行うこともできません。
参考文献
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6118.htm
特集のテーマに沿った一言について
大学で英語を専攻していて、卒業式の時に、学部長に「英語は単なる道具であり、重要なのは英語を使って何を伝えるか」のような事を言われました。
国際部で働いていると、頻繁に英語を使うので、会計上、税務上、有用な情報や有意義な話を英語で伝えられているか日々考えてしまいます。
本記事の執筆者
辻・本郷税理士法人
尾崎 匡克
獨協大学外国語学部卒業。
大学卒業後、2014年に辻・本郷税理士法人入社。
法人の設立業務に従事した後、2017年より法人国際部に異動。