スタッフと共に新たな仕組みづくりに挑む ~元サッカー選手が立ち上げたアイデア溢れる蕎麦屋~ | アジア 人事管理 人材マネジメント進出企業インタビューならヤッパン号


スタッフと共に新たな仕組みづくりに挑む
~元サッカー選手が立ち上げたアイデア溢れる蕎麦屋~

Star Over Pte Ltd / HEALTHY SOBA IKI Director 野口雄介

スタッフと共に新たな仕組みづくりに挑む
~元サッカー選手が立ち上げたアイデア溢れる蕎麦屋~

ブラジルでサッカー選手を経験され、現在はシンガポールでお蕎麦屋を営む HEALTHY SOBA IKI 野口 氏。野口氏の海外でのチャレンジ、オープンから5年が経った現在のお仕事への想い・工夫などを聞いた。

―現在のお仕事についてお聞かせください シンガポールのビジネス街 ラッフルズプレイスにて蕎麦屋 【HEALTHY SOBA IKI】を経営しています。今年でオープンより5年が経ちました。開店当時も日本食レストランや、ラーメン店などはありましたが、まだ蕎麦というのはシンガポールでは珍しかった覚えがあります。 ホーカー(屋台)でもない、格式ばった日本食レストランでもない、健康食に特化した十割蕎麦を使ったファストフードのような業態をオフィス街でやれば需要があるのではないかと考え、スタートしました。 シンガポールを選んだ理由は、当時、シンガポールを含む東南アジアを中心に国民の肥満や成人病が問題になりつつあり、食のチョイスとして消化のよいヘルシーなお蕎麦はマッチするのではないかと考えたからです。また、シンガポールはASEANの中心ですので、ブランドとして立ち上げて成功すれば、他国への展開も可能だと考えました。   ―もともと飲食業のご経験があったのですか? いえ、飲食業の経験はありませんでした。ただ、個人的に蕎麦はすごく好きで、オフィス勤務時代は、毎日3食のうち1食は蕎麦を食べるほどでした。立ち食い蕎麦や有名店の食べ歩きなどが、日本にいる時の楽しみでしたね。 多くの蕎麦屋を回るうちに、それぞれの個性が現れる立ち食い蕎麦は面白いビジネスモデルだなと考えていました。いつか飲食店をやってみたいという気持ちがあり、蕎麦屋を回るうちに、自分なりの個性やアイデアを出し、お客様と対面しながらファストフードのようなサービスを提供する「海外×十割蕎麦×健康志向のファストフード」のような仕組みを作ってみたいと思うようになりました。 ―「海外×十割蕎麦×健康志向のファストフード」の仕組みをゼロから立ち上げるのは相当大変だったのではありませんか? そうですね。場所選びやターゲット選定など、考えなければならないことは沢山ありました。シンガポールに何度も足を運びリサーチを重ねました。「蕎麦=ヘルシー」というイメージで、ターゲットをオフィスレディにしようと考えていたので、それに適した場所を探しましたが、当初紹介された物件は、居酒屋やバーのような場所が多く、狙いとずれてしまうところが多かったんですよね。そんな中、ようやくラッフルズプレイスの本物件を見つけ、ここであればオフィスも多く、平日の人通りもあるので、集客できるのではないかと、決断しました。 しかし、蕎麦を知らないシンガポール人には「ヘルシー=無機質で味が薄い」というイメージを持たれてしまい、日本ではなじみの“盛蕎麦”に対し、何も乗っていないお蕎麦にこの値段は払いたくないなどと、厳しいご意見を頂くこともありました。 そこからスタッフとともにメニュー開発などの試行錯誤を繰り返し、5年という月日を経て蕎麦に対するイメージも徐々に変化し、受け入れられてきたかなと感じています。おかげ様で当店のお客様は、ローカルの方が70%、ヨーロッパ系の方が20%、日本の方が10%という割合です。ヨーロッパの方もお箸を上手に使われ、音を立てながら食べてくださっていますね。 ―お店作りの上で工夫されていることはございますか? ”スタッフと一緒にこれまでにない仕組みを作る”という事ですかね。蕎麦の味もわからなかった彼らですが、ゼロから新しい仕組みを作ることに、面白みを感じてくれているようです。メニューも斬新なもの、二番煎じではヒットしないので、常にスタッフとともにメニュー開発に取り組んでいます。 蕎麦という日本食をシンガポールで売っていく上で、やはりローカライズも必要ですので、ローカルスタッフがアイデアを出し、自発的にメニューの開発をしてくれたりします。そのメニューがヒットしたときにはインセンティブを与えたりしています。ラクサやコラーゲン、薬膳やバクテーなど、シンガポールならではのアイデアが沢山出ていますね。 もちろん全てのメニューがヒットするわけではありません。ただ、“新しいことに挑戦していく事に価値がある”と考えています。それ自体が、スタッフがここで働くモチベーションにも繋がっているのではないでしょうか。 個人的には蕎麦を売る事が最終目的ではなく、お店づくりを通して、スタッフが日本に興味をもってくれたり、日本食が好きになってくれたり、日本とシンガポールとの架け橋になってくれれば嬉しいと考えています。現在スタッフは、シンガポール人・タイ人・マレーシア人の総勢10名ほどで、ジョブホッピングの文化が強いシンガポールですが、オープン当初から5年勤めてくれているスタッフもいます。   ―多国籍のスタッフと働かれる上で心掛けていることはございますか? それぞれバックグランドが異なるため、コミュニケーションは難しいと感じることも多いですが、やはり「話し合う事」「ルールを作って守る事」が重要と考えます。ありがたい事にお客様からフィードバックを頂ける機会も多く、ランチタイム終了後にスタッフへその内容を共有しています。なぜそのようなフィードバックを頂けたのかと掘り下げて議論をしていますね。スタッフも「カイゼン(改善)」という言葉を知っており、常にサービスを良くしていこうと日々細かい部分までコミュニケーションを取っています。 また一人がルール違反をして、それを許してしまうと、全体が緩んでしまいます。時間を守るという基本的なことに関しても、やはり文化が違うので日本人同士のようにはいきません。そこで緊張感をもってもらうため、お店自体もあえてオープンスペースにしています。暖簾もなければ、厨房もすべて見えるようになっています。自分たちの働いてる姿は常にお客様に見られているんだという意識を持って欲しかったんです。最初はスタッフからの不満もありましたが、自分たちのやっていることに自信を持ってもらう上で重要なスペースづくりだと考えています。 教育については、接客業はお客様によって対応を変えなければならないため、全てをマニュアル化することはできません。重要なのは“彼らが自分で考え、自分の言葉でお客様と対面する”という事だと思います。その根底にあるのは「自分がお店を作っている」というマインドセットだと考えています。お金のためだけでなく、誰と働くか、何をどう提供するかなど、当店で働く中で少しでも感じ取ってもらえれば嬉しいです。 ―蕎麦屋をオープンされるまでのキャリアについてお聞かせください 小学校からサッカーをしていて、ずっとブラジルに行きたいという夢があり、高校卒業後、チャンスを掴んでブラジルに渡ることができました。ただ、非常に厳しい世界でしたね。契約やビザの問題、代理人とのトラブルなど様々な経験をしました。4年間ほどクラブを転々とし日本に帰国。ブラジルでの生活では、大変ではありましたが、ポルトガル語や栄養管理などを身に付けることができ、よい経験になったと思っています。栄養管理に関しては今の職にも繋がっている部分があるかも知れません。帰国後は、小学校よりサッカー筋でやってきた事もあり、何をやっていいのか自分でも分からない状態でした。 そんな時、日本でサッカーのチャンピオンズリーグをテレビで観戦していると、ブラジル時代のチームメイトだった選手が出場していました。彼がそこで活躍している姿を見て、強い衝撃を受けました。彼はもともと上手い選手だったんですが、移籍に関して様々トラブルがあったことも知っていました。そんな彼が世界トップの場で活躍している姿を目の当たりにして、“俺は何をやっているんだ”と。 彼の姿に鼓舞され、まずは社会で働くという事がどんなことか知るためにいろんな経験をしてみたいと思い立ち、多種多様な職種のアルバイトを始めました。飲食店、八百屋、工場勤務など、睡眠時間は1日2~3時間程度で働き続けました。 働きながら夜間に貿易関係の専門学校に通い、卒業後に貿易関係の仕事に就きました。海外と繋がる仕事がしたいと、コンテナに入らないような大きな機材を海外へ輸出する業務を10年ほど担当しました。その後は自分のルーツでもあるスポーツアパレル業界の会社に転職し、貿易業務を3年ほど経験したところで、“自ら何かを作りたい”“海外でもう一度勝負したい”という想いが強くなり、シンガポールで挑戦することを決めました 紆余曲折があり、様々なキャリアを積んできましたが、どれも無駄ではなかったと思っています。すべての経験が今のお店の経営に活かされていますね。   ―今後のビジョンについてお聞かせください スタッフも成長してきているので、彼らにお店を任せて、もう一店舗をシンガポールで出店したいと考えています。私に頼らず、彼らのアイデアで自分のお店を作って欲しいですね。メニューも飽きさせない工夫を常に続けていきたいです。 先日、日本の文化をシンガポールの方に伝える活動として、店舗でのワークショップを開催しました。先日行った書道のワークショップは定員がオーバーするほど人気でした。シンガポール人が日本の蕎麦作りなどを見学・体験するツアーなどもやりたいですね。日本の文化をもっと知ってもらい、日本とシンガポールの架け橋の場となるような活動を今後も積極的に行っていきたいですね。個人としては、楽しいこと、新しいことに、今後も挑戦し続けていければと思っています。 ―最後になりますが、スタッフの勤怠管理において、クラウド勤怠管理システム”KING OF TIME”を導入されたと伺いました。ご使用の感想はいかがでしょうか? おかげさまで、スタッフの時間に対する意識が高くなったと感じています。日本人に比べ時間感覚が緩やかなアジアのスタッフたちも、”時間を守らなくてはいけない”と意識付けができ、早く出社するスタッフが増えた印象です。システムもシンプルで使いやすいですし、アフターフォローも迅速にご対応いただいているので、非常に助かっております。

日本でクラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」を開発し、国内シェア トップクラスを獲得したメンバーが、その海外展開として東南アジアへ進出。徐々に人事管理が浸透してきている東南アジアでも勤怠管理システムや人事管理システムを提供し、ローカル企業のクライアントも多数。

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