マレーシア人社長が語る!現地人材マネジメントのコツ | マレーシア 人材マネジメント 製造業進出企業インタビューならヤッパン号


マレーシア人社長が語る!現地人材マネジメントのコツ

東研サーモテックマレーシア Managing Director HO CHI WEN

マレーシア人社長が語る!現地人材マネジメントのコツ

熱処理業界で日本シェアNo1の東研サーモテック。そのマレーシア法人の社長を務めるのは、中華系マレーシア人のHO CHI WEN氏だ。新卒で東研サーモテックに入社し、日本の企業文化を学んだ後、マレーシア法人に赴任した。日本の企業文化と、マレーシアの文化、どちらも理解するホウ社長からみて、日本企業はマレーシアでどのように人材マネジメントをするべきなのか?クラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」の生みの親でもある、HUUBAPの奥畑氏が、現地人材マネジメントのコツを聞いた。

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マレーシア人社長が語る!現地人材マネジメントのコツ

―まずは東研サーモテックについて、簡単に教えて頂けますか?

東研の本社は、大阪市東住吉区にあり、主に関西地域に工場を構えています。来年で創立80年になる熱処理業界の老舗で、日本国内の熱処理業界ではトップシェアを持つ会社です。 日本全体では約750名の会社ですが、海外は中国、タイ、マレーシア、メキシコに拠点を持ち、特にタイでは従業員数も1000名以上と、海外事業が日本を超える規模に成長していて、2016年の業績では、全体の40%弱が海外の売上です。

―マレーシアへは、いつ頃進出したのでしょうか?

マレーシア法人は1996年1月15日に設立。1997年より工場を稼働し、日本と同様に熱処理事業を行っていて、従業員数は116名、売上は10億円くらいまで伸びてきています。 進出のきっかけは、日本でもクライアントだった自動車用クラッチを製造するメーカーからの要請でした。進出当初は、マレーシア政府が三菱などと協力して自動車製造に力を入れていた時期で、クラッチの需要が増えたことで熱処理の需要も高まり、要請があったようです。

―ホウ様は、どのような経緯で東研サーモテックへ入社されたのでしょうか?

私はマレーシアのジョホールバルという地域の出身で、父親は農業で生計を立てていました。マレーシアでルックイースト政策が始まり日本への関心が強い時代だったことと、電子工学の勉強をしたかったことから、日本への留学を決めました。1991年に日本へ渡り、最初の1年は日本語学校で日本語の勉強。その後、国立福井大学の電子工学科へ入学し、最終的には大学院まで卒業しました。中華系マレーシア人である私は、ほとんど私費留学だったため、新聞配達をしながら勉強していました。 大学院まで卒業してから東研本社へ入社しています。最初は工場現場に出て現場経験を積ませてもらいました。入社して1年半ほど経ってから東研マレーシアへ異動し、今年でマレーシア法人は18年になります。 日本企業だからと言って日本文化を押しつけてはいけない

―マレーシア人経営者という立場から、日本企業が失敗しがちな現地マネジメントについて教えてください。

マレーシアにおいて日本企業がよく失敗するマネジメントは「日本文化の押しつけ」です。 もちろん、私自身、日本に住み、日本企業で働いてきた経験から、日本の文化は非常に素晴らしいと感じていますし、弊社マレーシア法人でも日本式のマネジメント方法を実践している部分は少なくありません。 ただ、マレーシアにはマレーシアの文化や状況があるので、全てが全て受け入れられるわけではありません。例えば終身雇用や年功序列。経済の急成長に人口が追いついていないマレーシアでは、高待遇の求人を見つけては転職を繰り返す若手が多いため、終身雇用や年功序列を適応していれば、優秀な若手従業員が転職してくのは当たり前です。

―たしかに、ジョブホッピングが激しいマレーシアでは終身雇用や年功序列の制度が離職率を高める原因になるかもしれませんね。その他には、日本企業が陥りやすいマネジメントの失敗はありますか?

あとは、一方的に上から指示をするだけのマネジメントもあまり良くないと感じています。日本では上司が指示した内容に対して、部下が従うのは当たり前ですが、マレーシアでは異なります。上司が考え「これをやりましょう」と指示を出したとしても、マレーシアの人々からは「なぜ?」と言われることが少なくありません。 これは、単一民族国家で同一教育を受けている日本人では想像がつかないかもしれませんが、もともとマレーシアは、マレー系、中華系、インド系など、様々な文化背景を持つ民族が集まっている国だからです。様々な考え方の人がいる中で育ってきているからこそ、人がそれぞれ異なる考え方を持っているという認識が強く、単純に上から指示が出たとしても、「なぜ?」という疑問をもつ文化があるのです。  

―日本人がマレーシアでマネジメントするは難しいのでしょうか?

日本人なのか、マレーシア人なのかは関係ないと思います。私自身は中華系マレーシア人ですが、やはり、マレー系、インド系の文化はまだまだ理解できていない部分が多く、私でもマネジメントで日々苦労しています。 異文化を完全に理解できている人なんてほとんどいないと思いますし、例えば日本人が日本人をマネジメントする際でも相手を理解しきることは難しいのではないでしょうか。むしろマネジメントで重要なのは、相手を理解しようとする姿勢なのだと考えています。 SEEK FIRST TO BE UNDERSTOOD, THEN TO BE UNDERSTAND

―マレーシア人であるホウ様が苦労するのですから、日本人がマレーシアでマネジメントする際は、より苦労するのは当たり前なのかもしれません。そんな、日本人にマレーシアでのマネジメントをアドバイスするとしたら何かありますか??

先ほども言いましたが、自分の気持ちや考え、言いたいことを理解してほしいと思うのなら、まずは相手のことを理解しようとする姿勢が大切です。私がマネジメントにおいて常に念頭に置いているのが「Seek first to be understand, then to be understood」です。日本語では「郷に入りては郷に従え」という言葉に当たるのでしょうか。 マレーシアに赴任してすぐに「日本ではこうやっている!」と日本式を押し付けるのではなく、まずはマレーシアのことを理解してほしいです。そうやって、ある程度現地のことを理解してから日本のやり方や文化を適応することで、よりよい結果が生まれる。個人的には、現地のことを理解した上であれば、日本7割、マレーシア3割位の割合で、マネジメント方法や企業文化を反映してもいいと思っています。

―その他、ホウ様が工夫しているマネジメントはありますか?

仕事場での信頼関係づくりでしょうか。東研マレーシアでは「ONE HEART ONE TOKEN」を掲げ、みんな家族のような気持ちで働いてもらえるよう心がけています。 例えば、懇親会を開催する際は、従業員だけでなく、従業員の家族も含めて招待しています。また、従業員の誕生日祝をするだけでなく、従業員の配偶者が誕生日のときも、会社の人事からプレゼントを送っています。 マレーシアの人たちは、”やらされること”は嫌いですが、”やりたいこと”は一生懸命に取り組みます。会社を家族のように感じてもらえれば、自発的に活動してくれるようになります。従業員の配偶者へのプレゼントも、弊社の人事部が自分たちで考えてくれたことですし、お客様がご来社するたびに従業員全員が立って挨拶するのも、彼ら彼女らが自発的に始めてくれたことです。

―今後、東研マレーシアをどのような会社にしていきたいと考えています?

おかげさまで、最近では退職する人も少なくなり、5年以上勤務し続けてくれている従業員が多くなってきています。今後も、「ONE HEART ONE TOKEN」をより強く浸透させて、企業としての団結力を高めることで、利益を伸ばせる会社にしたいと考えています。

記事の監修

日本でクラウド勤怠管理システム「KING OF TIME」を開発し、国内シェア トップクラスを獲得したメンバーが、その海外展開として東南アジアへ進出。徐々に人事管理が浸透してきている東南アジアでも勤怠管理システムや人事管理システムを提供し、ローカル企業のクライアントも多数獲得。

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