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お問合せありがとうございます。第1回目では、「シンガポール法人設立前に準備しておくこと」の概要をお伝えし、第2回目では見積りを依頼する際のドラフトを大公開しております。第3回目は、「シンガポール法人設立前に準備しておくこと」6項目の裏にある本音の解説を行いたいと思います。
【①会計事務所に見積りを依頼する前に整理しておくこと】
会計事務所に見積りをリクエストするためにこんなに細かく!と思うかもしれませんが、これだけやっておけばその後が比較的簡単に進められます。それぞれの質問への回答がなぜ必要かを「受け手」目線(会計事務所目線)で解説します。
(i) 株主は個人にするか法人にするか?(法人の場合は、親会社の決算規模‐売上、総資産、従業員数も伝える)【西田本音解説】設立は個人のほうが提出書類が少なくすむため、簡単です。法人株主の場合は、日本法人の株主(日本では正式な株主リストがないため、税務申告書の別表その2を使います)の提出やシンガポールの銀行口座開設の際に、株主が複数いる場合はパスポートの提示を求められたりするため手続きに時間がかかります。また、法人株主の場合は、親会社の法人を含めた上でシンガポール法人に「会計監査」が必要かをジャッジします。その場合は、「会計監査」費用も全体費用に見込んでおく必要があるため、この質問をさせていただいています。(業種に伴うリスク度合いで、まずは個人株主から進める場合も最近はよくあるでしょう)
(ii) 事業内容: シンガポール法人の売上計画(初年度、2年目の売上規模)と現地体制(従業員は現地雇用か日本から送り込むか、または2年後の従業員数規模)【西田本音解説】シンガポールに長くいると、色々な業種の方にお会いする機会があります。時にはマネロンリスクの高い事業など、会計事務所としてはできれば回避したい事業からの問合せもよく受けています。この質問はシンガポールでどのような事業をやろうとしているかというKYCの一環となります。そのため事業内容はできるだけ細かく記載されることをおススメします。また、日本人などの採用や派遣を検討しているかで「就労ビザ(Employment Pass)」の見積りやローカル従業員むけの「Payroll(給与計算)」が必要かも判断します。また、売上規模の重要性として年間S$1Million以上の売上はシンガポール国内の消費税登録事業者となり、四半期単位での消費税(GST)申告業務が発生します。これらの見積りが必要かなどの判断もします。
(iii) シンガポール事業の経理(日本でいうところの会計ソフトへの入力)は本社の経理が担当するか現地会計事務所に委託するか?経理については、ローカル銀行とのコミュニケーションが発生するため、社内に英語の話せるスタッフがいるかどうかもポイントになります。
(iv) 細かいところでいうと、シンガポール法人からの毎月発行する請求書数、毎月支払いをする取引先(サプライヤーなど)の数も計画しておくこと。【西田本音解説】会計事務所の経営といいましても、日々の運営は結構労働集約型のビジネスなのです。そのため、毎月の仕分け作業や会計システムへのデータ入力作業、試算表のレビューなどの作業ボリューム感を正しく把握する必要があります。当社でも、データ入力までを企業様の本社スタッフに対応していただき、当社は試算表のレビューのみ対応、などで「割引」の対応をしているクライアント企業様もございます。また、最近はシンガポールの銀行からの質問も多く、それらの「対銀行」とのコミュニケーションについて本社対応が可能か、それとも当社のような会計事務所で対応した方がよいか、なども考慮して見積もりを出させていただいております。
(v) 試算表を会計事務所から提出する頻度。【西田本音解説】日本では一般的に毎月試算表を締めますが、シンガポールでは事業の規模やライセンス要件にない限り、年1回の決算締めが基本です。株主や経営陣への業績報告のサイクル次第で「毎月」や「四半期」での報告も検討するべきです。
(vi) ノミニー役員が必要か?【西田本音解説】シンガポール法人の設立要件として「現地役員」(現地に住んでいる役員)があります。役員クラスがシンガポールに居住しない場合は、会計事務所等にノミニー役員(名目役員や名義貸しなど呼びます)を依頼することは一般的です。これらも見積りに含まれますが、注意点としては本来「ノミニー役員」はシンガポール法人の維持を目的に提供され、それ以外のシンガポール賃貸契約に署名、取引先に対して役員として個人保証をするものではありません。
【第四回予定】
次回は、「日系会計事務所の特徴を確認することの重要性」について、熱く回答したいと思います。
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