雇用契約と雇用契約書 | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号


ミャンマーに関するコラム

雇用契約と雇用契約書

いつもお世話になっております。
東京コンサルティングファーム ミャンマー拠点の西野由花です。

 

 

人材を雇用する際には雇用契約を行っていくこととなりますが、その雇用契約や就業規則と言ったものにも国によって様々な規定があります。
今回はそんな雇用契約と雇用契約書に関してご紹介いたします。

 

 

【雇用契約に関して】
かつては、労働者の基本的な権利と義務に関する法律(Law prescribing the Fundamental Right and Duties of People’s Workers)の第14条に雇用契約に関する規定が置かれており、労働省が標準雇用契約書を定め、企業は基本的にこの標準雇用契約書に基づいて企業独自の規定も含めて、雇用契約書を作成していました。

 

しかしながら現在は雇用及び訓練法(The Employment and Training Act, 1950)に代わる法律として2013年に雇用及び技術向上法(The Employment and Skill Development Law,2013)が施行され、その法に雇用契約締結義務、雇用契約書の必要的記載事項等についてが規定されています。そのため、雇用契約の際には上記法律を把握しておく必要があります。

 

 

ミャンマーにおいては、雇用条件について労使間双方で確認するため、労働者の雇用を開始してから30日以内に書面で互いの署名を記載した雇用契約書を作成することが定められています。さらに、署名した雇用契約書は、写しを郡労務事務所(Labor Office)に提出する必要があります。

 

この雇用契約書は雇用及び技術向上法5条によって定められた項目が記載されていれば自由に作成することができるとされています。

 

しかしながら、実務上は郡労働事務所による雇用契約書のひな形が公表されており、こちらのひな形以外を使用したり、追記を行ったりした場合には郡労働事務所に受け付けてもらえないため、提出される雇用契約書はほぼすべてこのひな形を利用したものとなっています。

 

加えて、上記ひな形がミャンマー語であるため、提出する雇用契約書もミャンマー語、もしくは英語とミャンマー語の併記であることが求められます。

 

 

なお、雇用契約書とは別に、各社で独自の就業規則を作成する企業も増えており、そちらは法律に反しない限り自由に定めることができます。

 

 

また、雇用契約書の提出については以下の通りの流れとなります。

 

 


なお、雇用契約書の締結を行わない場合は雇用及び技術向上法38条により、罰則として6ヶ月以下の懲役もしくは罰金、またはその両方が科せられます。

 

 

[雇用契約書の内容について]

雇用及び技術向上法5条では、雇用契約書に乗せるべき事項が記載されています。これらの記載事項が雇用契約書に記載されていない場合は罰則として、3ヶ月以下の懲役もしくは罰金、又はその両方が科せられます(雇用及び技術向上法39 条)。

 

 

郡労働事務所の公開している雇用契約書ひな形では、以下の項目を記載するように規定されています。

 

 

必須項目:

① 役職
② 試用期間
③ 給与
④ 勤務地
⑤ 契約期間(※)
⑥ 就業時間
⑦ 休暇日数、休日日数
⑧ 残業について
⑨ 食事手当について
⑩ 住宅手当について
⑪ 医療手当について
⑫ 通勤及び出張時の車の手配について
⑬ 就業規則
⑭ トレーニングコース参加者の最低就業期間
⑮ 退職と停職について
⑯ 契約期間満了時の対応
⑰ 義務
⑱ 合意による退職
⑲ その他
⑳ 規則の修正・追記についての権利
㉑ 雑則

 

 

※雇用契約の期間については法的な規定は存在しませんが、実務上は2年を上限として、それ以上の期間を雇用期間とした場合は雇用契約書の提出を却下される可能性があります。

 

 

いかがでしょうか。
雇用契約を行う際の雇用契約書は、ミャンマーでは実務上決められた型のものを使う必要があり、しかもその内容は工場で働くワーカー向けの内容となっています。

 

そのため、企業の各社の事情に合わせた内容で作成することが難しくなっており、各自に就業規則を作成する日系企業様も増えています。

 

ミャンマーの労働関係法に違反しない内容であれば、ハラスメントや機密保持などの規定をすることが出来ますので自社で事前に規定をしたい内容がありましたら就業規則を作成することをお勧めしております。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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