コロナ時代の越境ECを考える 【第3回】競争相手は「全世界」、成功体験への固執捨て、柔軟な戦略設計を -2 | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号


世界全域に関するコラム

コロナ時代の越境ECを考える
【第3回】競争相手は「全世界」、成功体験への固執捨て、柔軟な戦略設計を -2

国内の通販市場の競争環境が激化する中、ここ数年、企業の成長を支えてきたのが海外需要の取り込みだ。競争が激化する中にあってもインバウンドや越境EC、海外販路の開拓が各社の事業を潤してきた。

だが、2020年、新型コロナウイルスの感染拡大が、国内消費マインドの冷え込み、インバウンド需要の激減など事業環境に大きな変化をもたらしている。影響長期化から収束の見通しが不透明な中、コロナ時代の越境ECについて、これをサポートする専門事業者の視点から考察していく。

第3回目は、コンパスポイントの岡田氏、国際物流を行う4PX EXPRESS JAPAN(以下4PX)代表取締役の謝郁安(Ian Hsieh、以下イアン)氏、Payoneer Japan(ペイオニア・ジャパン)の岡本氏にコロナ以後の海外展開の変化について語ってもらった。

(ネット販売VOL.22 No.4より転載)

コンテナ不足で物流費用は高騰

 

――コロナ以後、国内外の企業の動きはどう変わっていますか。

 

岡本:旅行業界の低迷で民泊利用等の売り上げは落ち込みましたが、越境EC関連は非常に好調です。20年の緊急事態宣言以降、一時、日本郵便の米国向けの出荷が停止しましたが、セラーが別の配送手段に切り替え、11月以降売り上げが伸び始めました。

 

――国際物流はどう変わりましたか。

 

イアン:20年に始まったコロナ禍で最初に起こったのは、中国による全世界からのマスクの買い占めです。一般人が店頭で買い占め、海外から中国に売るBtoCを起点にこの流れが始まり、BtoBに広がっていきました。20年2月頃は、マスクの出荷量だけで1日に1万人(件)ほど送っていました。

次にその逆流が起こります。今度は、世界各国がマスク不足になりました。中国の感染者が減少に転じ、旧正月が終わったタイミングで、中国でマスク生産が始まりました。そのような形で20年中は、ずっとマスクを運んでいmした。通関のルールも「このマスクは輸出できない」「同じマスクでもこの国のマスクの輸入はダメ」と毎日のように変わり、マスクがずっと彷徨っているような状況でした。

次に問題として浮上したのが「コンテナ不足」です。冬になると低温のコンテナへのコロナ付着の懸念が高まり、すべて消毒が必要になり、コンテナ不足からモノが運べない状況が起こりました。

旅行業界の低迷から、パッセンジャー(旅客)に貨物を積載できなくなり、貨物飛行機しか飛ばなくなりましたが、そうなるとやはりもうからない。そうして貨物飛行機自体の数も減り、物流全体が滞り始めました。

 

――そうした状況は今も続いていますか。

 

イアン:続いています。とくにコンテナの値段は高騰しています。

岡田:モノ動かしたいのに止まってしまいちぐはぐな部分もある。

 

 

コンパスポイント代表取締役 岡田昇氏 コンサルティング会社、商社を経て独立し、日本商品の海外アマゾンで日本商品販売を行う事業で起業。2013年から企業向けの支援事業を行い、15年にコンパスポイントとして海外アマゾンでの販売支援事業を本格化。補助金事業専門家アドバイザー、地方自治体案件等にも取り組む。3児の父。大学時代にキックボクシングのプロライセンスを取得。趣味は筋トレ、読書、瞑想。

 

イアン:それはありますね。物流費用は高騰し、今後も高止まりの状況は続きそうですが、そこは必要経費になっていくかと思います。

 

――物流コストの高騰など国内企業が越境ECを行うハードルは高くなっていますか。

 

イアン:そこは反対に低くはなっています。物流の滞留は業界内のことで、越境ECをしようと考えた時、支払い

をどうするかと言えばペイオニアさんがいる。モノを運ぶとなれば僕らがいる。全部分からないとなればコンパスポイントさんがいる。かつてこうしたパートナー企業、インフラは整備されていませんでした。Zoomなどオンラインシステムの浸透もあり、環境はよくなっています。加えてECをやるしかないという環境の変化もみられます。

 

――これから国内企業が海外市場を視野に入れる場合、課題になるのはどのような点でしょうか

 

岡本:これから越境ECを始めようという人と話すと必ずといっていいほどでてくるのが「何から手をつけたらよいか分からない」というものです。「外貨を受け取った時にいつのレートで換算して財務諸表を作ればよいか分からない」など「税・会計」の問題、また、「物流」「販売手段」などのノウハウの面の問題も生じます。返品の問題が生じたらイアンさんの領域ですし、入金の遅れ、海外マーケットプレイスからの支払いの停止など決済トラブルが生じた場合、当社のネットワークも生かして取引先と一体になって解決していきます。

 

――物流面での課題はありますか。

 

4PX EXPRESS JAPANの大阪本社

 

イアン:日本の技術、サービスは素晴らしいものですが、これを海外に持っていく上では「言葉」「コスト」「通関」「倉庫」「現地ルール」など多くの壁があります。統計的観点で言えば、だいたい1万件に7件は絶対トラブルがあります。1日に60~100万件ほどの荷物を扱っていると、「写真と製品が違う」「請求が違う」といったトラブルは日常茶飯事です。例えば、貨物を厳重に梱包しても、中国でも欧米でも貨物は投げられるから「製品が壊れている」なんてトラブルは多い。米国は日本と違い、宅配便の料金体系も品質によって安いものから高い設定のものまであります。おそらく、安いものを選ぶと玄関前の庭から投げられます。

日本国内のアマゾンで購入しても、海外にバイヤーがいるケースもあり、当社がトラブルシューターとなって解決しなければいけない部分もあります。そのため、モノの流れをトレースしてウェブ上で確認できるようにしたり、人為的なトラブルを防ぐよう努めています。物流や貨物費用を補償してくれるような保険制度への加入など担保は必要に感じます。

 

――ほかに気をつけるべきところは。

 

イアン:国際物流で言えば、一つは送ってよいものかどうか。それから各国で税制の違いからくるトラブルもあるのでルールを分かっておく必要があります。例えば、送れると思っても輸入できないと判断されたら日本に戻さないといけない。けれど書類がきちんとしていないと戻せなくなり、コンテナの商品すべてを破棄しなければならないといったトラブルも起こりえます。

岡本:通貨でいえば当社は10通貨の対応であるため、当然、それ以外は受け取れません。それからあくまでサイトに開設したアカウントはウェブ上の表示であり、実際は世界各国の銀行に口座を持っています。2国間の送金では、ワイヤートランスファー(電信送金=送金元と受取先の銀行が直接やり取りする手法)や、スイフト(国際送金ネットワークを介した送金)などがありますが、手数料や送金のリードタイムが異なるということがあります。

 

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