アメリカで会社設立 (法人設立) する手順まとめ | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号

アメリカ×会社設立特 集


アメリカで会社設立をお考えの方へ

【経済大国アメリカへの事業進出】
世界ナンバー1の経済力を誇り、制度的に安定した法治国家である、自由の国「アメリカ合衆国」は、多くの日系企業にとって魅力のあるマーケットです。実際に日本からアメリカへの直接投資額は年々増加しており、2021年末時点の累積直接投資残高は83兆円ほどで(2021年末為替レート適用)、アメリカに対する世界最大の投資国となっています。個人による投資を含め日本関係の投資(部分的所有含む)により、全米各地50州、おおよそ9,000の拠点で事業活動が行われています。

アメリカへ進出するにあたり、「どのような形態で会社設立(法人設立)できるのか」「どれくらいの期間で設立できるのか?」などと疑問に思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。海外への進出・会社設立は日本とルール(会社法や税法)や言語が違うこともあり、不安を抱えていらっしゃる方も多いと思います。

そこで、2013年より海外進出支援メディアとして世界各地のビジネスの専門家を紹介してきたヤッパン号が、アメリカへの進出形態やそれぞれのメリット・デメリット、進出までのステップ、必要な書類などについて解説いたします。その中で、すでに基本事項が決定済みの方については、最短、1日でも会社設立が可能である方法を紹介します。

アメリカでの会社設立(法人設立)について知っていただき、実際に進出を検討される方へは、設立支援を行うヤッパン号おススメの専門家も紹介いたします!

それでは、1つ1つみていきましょう!

掲載情報については2022年11月21日時点における情報に基づいて、ヤッパン号編集部で作成したものです。ただし、その掲載情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。直接、専門家の方々にお尋ねすることをお勧めいたします。くれぐれも慎重にご判断ください。

1アメリカで会社設立するために知っておきたいポイント

ポイント1:アメリカに会社設立(法人設立)する際の進出形態とそれぞれのメリット・デメリット

ポイント1:アメリカに会社設立(法人設立)する際の進出形態とそれぞれのメリット・デメリット

日本で事業を展開済みの企業によるアメリカ進出方法に関しては、「拠点(ペーパーカンパニー含む)を設けるか、設けないか(情報収集のみや第三者の活用)」「新規事業立上げか、既存事業の活用か」といった分類をすることができます。また個人の投資(起業)によるアメリカ進出方法も、以下の表の選択肢の一部が除外されるものの、原則としては、同様に考えることができます。

アメリカ進出の分類 拠点設ける 拠点設けない
新規事業立ち上げ 通常の現地法人会社設立
支店登録
駐在員事務所
代理店活用
雇用代行業(日本ではGEOと呼ばれる形態)利用
代用銀行口座利用
既存事業の活用 M&A(買収・営業譲渡)
※会社設立を伴う場合も
N/A

既存事業を活用して、M&Aによりアメリカ進出する際は、検討ポイントもプロセスも他の選択肢と大きく異なることから、以下での簡単な言及を除き、議論は別の記事に譲ります。

表中に太字で示したように新規事業立ち上げのためのアメリカに進出する際に選択する進出形態(会社設立の形態)は、大きく分けると 「現地法人」、「支店」、「駐在員事務所」、「代行形態(代理店、雇用代行、代用口座など)」の4種類 に分けられます。それぞれメリット・デメリットがありますので、ご自身の事業内容や事業形態に合った方法を選ぶことが重要です。

ある程度アメリカ進出が具体化している方は、実際どの形態が望ましいのかと悩んでいる方もいらっしゃると思います。一般的な例を前提に、消去法で選択肢を考えていきましょう。消去法で考えていく前提となる事実として、A)アメリカでの現地法人・支店設立や解散の一般的なプロセスは、世界的に見て最も簡便な制度の一つと考えられ、コストも限定的であること、B)アメリカでは事業や人の雇用に関するリスクがそれなりに高いこと、を指摘しておきたいと思います。

まずは「駐在員事務所」について、日米租税条約の規定を前提にして米国で可能となる進出形態ですが、実際にこの形態を選択しているケースは多くないと言えます。駐在員事務所での活動は、情報収集、商品購入、商品保管・展示棟等、日米租税条約で定められる一定の補助的性格の活動に限られます。ケースが少ない理由は、上記前提A)や駐在員事務所が連邦法人税のみの免除となる制度であり米国の制度上で定義されておらず扱いが中途半端であることが挙げられますし、特に会社として長期的に就労ビザ発給を受けることにについての難易度が増すことも大きな理由と考えられます。

次に、「代行形態」である、代理店利用、雇用代行業者(日本でGEOと呼ばれるサービス)の利用、また代用銀行口座利用(他社作成のエスクロー銀行口座の代用利用)についてはどうでしょうか。代理店利用による販売は昔から用いられている方法であり、代理人の役割が一定範囲を越えなければ日本本社側の追加的な税務上の義務なども生じませんので、自社による事業展開よりも効率的に事業展開ができると考えられれば、選択肢となるでしょう。一方、雇用代行や代用口座の利用に関してですが、こちらも(人材や口座に関して)自社のコントロールがどこまで可能かという問題と常に向き合っていく必要がありますが、実施可能性問題がクリアされれば、上記前提A)で指摘した進出のためのコスト、また「解散・清算」のためのコストとの比較で選択肢となりえます。

また人材雇用に関するリスクの外出しができるというメリットも言われますが、当然にそのリスク分は業者への支払額に上乗せされるものですし、税法上の従業員(Employee)の定義上指揮命令系統によって決まるのが原則ですので、実質的に貴社本社が米国で人員雇用を行っていたとみなされたり訴訟の対象とされたりするリスクが高くないかも十分に確認をしたいものです。

最後に「現地法人」「支店」か、どちらの進出形態を選択するかは、おおまかに次の基準で判断できます。

現地法人・・・・日本本社の法的・財務的リスクを減らしたい場合、現地VCからの出資を狙っている場合

支店・・・・・・税務対策を優先したい場合 (当面の間、アメリカ事業で赤字が予想される場合に限る)

支店の場合、アメリカ支店の損失を日本本社の利益と相殺できるため、グループ全体の節税に繋がります。しかし、支店の場合は、最終的な法的・財務的リスクを日本本社が背負う必要があるため、訴訟などが発生した際のリスクが高まります。税務対策よりも、本社のリスクを減らしたい場合は、現地法人を選択すると良いでしょう。支店の登録は、事業遂行州において本社(日本法人)の外国法人としての登録をすることと、法人税上指定の申告書フォームを提出することで実行されます。業種によって、支店登録を行っている企業が見られる場合もありますが、概して言えば、日本法人の外国支店として登録をして事業をするケースは多くありません。やはりアメリカの事業からリスクを日本本社と切り離したいという動機づけが最大の理由です。リスクが許容範囲内であるという判断が前提となるでしょう。

以上のように、法人設立が不要だとの明確な理由が存在する場合以外は、結果的にも、結局現地法人を設立する場合が圧倒的に多いのがアメリカ進出の実情です。その中でも、現地でベンチャーキャピタルなどからの資金調達を考えている場合、通常はアメリカ現地法人を設立することになります。

※もう一つの進出方法「M&A」
海外進出では、現地組織を設立してゼロから立ち上げる方法の他に、既存の企業への資本参加や買収により、既に販路や人材といった運営基盤を持った現地企業をM&Aし、その上に自社の製品やサービスを付加して立ち上げる方法もあります。M&Aを利用した進出には、現地での事業立ち上げの時間を大幅に削減することができ、事業計画も立てやすくなるメリットがあります。また、新たな生産工場を必要とする事業の場合には、M&A先の余剰生産能力を活用して初期投資を抑えられる場合もあります。

ただ一方で、M&A先の詳細調査が甘かった場合に思わぬ損害を被るリスクがあるため、ニーズに適したM&A候補企業の選定と、財務・法務・人事・営業・知的財産・税務など、あらゆる面からの詳細調査が重要になります。M&Aをお考えであれば、投資先の表面化されていないリスクの洗い出しと、適正な投資価値の評価ができる、実績あるアドバイザーの選定をお勧めします。

以上をまとめると、下記が、「現地法人」、「支店」、「駐在員事務所」、「“代”行形態(代理人、雇用代行、代用口座など)」の主な違いになります。

アメリカ進出形態 4パターンの比較表

現地法人 支 店 駐在員事務所 “代”行形態
営業行為の可否 ×
(あくまで代行としては可)
日本本社の法的責任 なし あり あり あり
米国での法人税申告 あり あり
(一部免除)
原則なし
(租税条約、州税法要注意)
本社への損益算入 不可
取締役・執行役員 最低1名
(居住者要件なし)
なし なし なし
登録商号の選択 原則自由に選択 日本本社と同名 登録不要 登録不可
ライセンス取得難易度
(可能)

(一部不可)

(不可)

(不可)
就労ビザの発行 ×
開始までの費用負担
(ビザ取得費用除く)
比較的多め
(設立関連費)
比較的少なめ
(登録関連費)
少ない 代行契約に係る弁護士費用の多寡による
準備開始から事業開始
までの所要時間
通常1か月ほど 通常1か月ほど 通常1か月内 通常1~6ヶ月
(業者選定含)

次にアメリカで現地法人を設立する際の会社設立形態を説明します。まずは会社法上の分類です。

1)Corporation(株式会社)
2)LLC: Limited Liability Company (有限責任会社)
3)Partnership(パートナーシップ(共同事業体))
4)LLP: Limited Liability Partnership(有限責任共同事業体)

通常の進出の場合、選択肢は1)Corporation(株式会社)か2)LLC(有限責任会社)です。LLCは、以下に述べるように、税法上の扱いでC-Corporationにもパススルー実体としても選択ができるので、重宝されますが、個人投資の場合や米国内グループ会社群を形成する際の下層エンティティの場合に使われるケースが多いです。

CorporationとLLCの運営方法の簡便さの違いが言われますが、多くの場合は無視できる程度です。設立関連費用自体はCorporationの方が安い場合もあります。またLLCは州によって特別な税金が課される場合があります(例:カリフォルニア州)。内部体制の秘匿性を理由に選択をするケースもあります。

次に、1)Corporationと2)LLCについて、税務上の選択肢と掛け合わせて、場合分けをします。

税務上の選択 1)Corporation 2)LLC 注釈
法人課税選択 ① 税務上のC-Corporation ② 税務上のC-Corporation ①、②の法人税上の差異なし
S法人課税選択 ③ 税務上のS-Corporation ④ 税務上のS-Corporation ※特定の個人株主の場合のみ選択可能
パススルー選択 選択不可 ⑤ 税務上のPartnership ※日本側での税務上の取扱は法人扱い

通常の日本企業の海外進出の場合は①②、個人株主の場合は税務上の効率性を検討した上で、①~⑤までが選択肢に入ってくると思います。以上で出てきたキーワードを整理しておきます。

【Corporation(株式会社)】
日本の株式会社に該当する会社設立形態で、日本企業がアメリカへ進出する際は、この形態を選ぶことが最も多いです。会社機関は株主(Shareholder)、取締役会(Board of Directors)、取締役(Director)、役員(Officer)から構成され、株の自由譲渡も可能です。アメリカではコーポレーションに関する法律は、州法によって定められているため、会社設立する州の州法に従って登記する必要があります。税務上の扱いは通常の株式会社C-Corporationとなるか、条件が揃えば構成員課税のメリットが享受できるS-Corporationの選択をすることも可能です。

【LLC:Limited Liability Company(有限責任会社)】
会社法上の所有者の有限責任のメリットを享受できる一方、税法上のはパートナーシップ課税と法人課税の選択ができるメリットがあります。LLCの会社機関はCorporationと違いがあり、所有者はMember、経営者はManagerと呼ばれ、所有者管理(Member-managed)とすることも経営者管理(Manager-managed)とすることも可能です。所有者管理を選択して会社の管理手続きをより簡素化することも可能です。LLCも州法に基づいているので、詳細は設立州の法律に従うこととなります。

【C-Corporation ※税務上の分類】
通常の法人としての法人税申告を行います。日本の会社が株主となって子会社を設立して事業を行う場合、法的形態がCorporationであってもLLCであっても、税務上はC-Corporationとなる場合がほとんどです。

【S-Corporation ※税務上の分類】
特定の個人(米国居住者)が所有者である場合に、税務上の構成員課税選択をすることで得られる税務上の分類がS-Corporationです。事業の損失を個人の所得と合算できるメリットがありますが、日本人個人が現地で会社を立ち上げて事業を起こすような場合にのみ当てはまります。

【Partnership:パートナーシップ ※税務上の分類】
税務上のパートナシップのメリットは「パス・スルー課税」という税制度が適用され、法人が得た収益を法人税としてではなく、構成員(事業の所有者)に対してのみ課税を行う制度です。そのため、法人税と個人税の二重課税を回避することができます。

【Sole Proprietorship(個人事業主)】
日本で言う個人事業主に相当し、事業主である個人が事業体として扱われます。上記の議論では出てきていませんが、個人が米国で事業を開始する場合、選択肢となり、個人事業として連邦雇用者番号(EIN)も別途取得が可能です。余計なペーパーワークを省くことができ、維持費も抑えられます。ただし、事業の債務が事業主個人の債務として扱われるため、無限責任を負うことになり、法的リスクは大きくなります。

ポイント2:アメリカで会社設立するための
13ステップ

ポイント2:アメリカで会社設立するための
13ステップ

アメリカで会社設立 (法人設立) するために必要な期間や費用は、おおよそ下記のとおりです。
【アメリカ会社設立 (法人設立) のための期間と費用】

- 会社設立 (法人設立) の所要期間:最短1日(登記までのみ)、諸々の準備を含めると最短1ヶ月~(事業開始できる状態になるまで)

- 必要経費:$3,000~$6,000 (弁護士やコンサルに依頼した場合)

- 最低資本金:資本金規制は原則なし

アメリカの会社設立 (法人設立) には、1~2ヶ月の所要期間を見ておくのが妥当です。法律的には、定款を州政府へ申請し認可されれば会社設立 (法人設立) は完了となり、最短1日で可能です。しかし、法人設立内容の決定までに時間が必要でしょうし、実際にビジネスを展開するまでには、各種内部書類の整備や、税務当局への登録、法人銀行口座の開設、資本金の振り込み、ライセンスの取得など、設立と同時に行うべき手続きが多くあり、それらの手続きも完了し、ビジネスを始める準備ができるまでに、1~2ヶ月ほどの期間を要します。

会社設立 (法人設立) に必要な費用ですが、おおよそどの州も、登記等にかかる実費は数百ドル~1,500ドルほどです。会社設立 (法人設立) を外部依頼する費用に関しては、依頼する先や、どこまでの業務を依頼するかによって変わりますが、諸々合わせて$2,500~$10,000くらいの予算を見積もっておきましょう。依頼の際には、会社設立サポートにどこからどこまでが含まれているのかを明確にする費用があります。

下記には、アメリカでの会社登記の標準的な13のステップを記載しておりますが、現地の専門家に任せれば、ここに記載している手続きのほぼ全てを代行してくれます。なお州の手続きなどが異なる場合がありますので、ご注意ください。

アメリカ進出・事業開始までの13ステップ 想定所用日数
STEP 1 進出形態、会社設立形態の決定 1日~1か月
STEP 2 株主や持分ストラクチャー、会社機関の決定
STEP 3 会社設立州の選択
STEP 4 設立会社名の決定
STEP 5 定款の登録(会社州登録いわゆる狭義の会社設立に相当) 最短1日(州による)
STEP 6 連邦法人識別番号(EIN)の取得 最短1日~3週間ほど
STEP 7 設立州以外の事業遂行州への登録 1日~7日
STEP 8 必要な内部決議(決議書含め会社設立書類の整備) 1~7日
STEP 9 株券の発行などコーポレート・キットの整備 3日~7日
STEP 10 銀行口座の開設 1日~3日
STEP 11 州雇用者登録 1~3週間
STEP 12 ビジネス・ライセンスの取得 不要もしくは1~2か月
STEP 13 米国商務省へのBE-13の提出 1~3日
全体スケジュール

必要項目すべて決定済みであればStep5狭義の会社設立まで最短で1日。 全体で重複並行部分除き短ければ2~4週間、検討に時間がかかったり特別なライセンスが必要などの場合は、3~4ヶ月で事業の本格開始。

下記で、各ステップの詳細についてご紹介します。

STEP1
進出形態、会社設立形態の決定の選択

アメリカ進出の際、現地法人設立するのか、外国会社の支店として登録するのか、駐在員事務所や代行業者を利用した形で進出するのか、という「進出形態」についての詳しい説明は、前出ポイント①を参照ください。ほとんどの場合、業種、事業目的から、選択肢は絞られると思います。目的とリスクの程度(及びその許容水準)が主な決定要因だからです。

アメリカ進出で会社設立を決定した場合、その「会社設立形態」についての詳しい説明は、前出ポイント②をご参照ください。端的にまとめれば、会社としての進出の場合、設立形態の多様性はあまりなくなり、選択肢は絞られます。個人投資の場合は、様々な選択肢があります。

STEP2
株主や持分ストラクチャー、会社機関の決定

会社を設立すると決定した場合、その株主を誰にするのか、ストラクチャー(持分体系)、Director(取締役)やOfficer(執行役員)などの会社機関を決定する必要があります。「株主を法人にするか個人にするか」「法人でもいくつか既存法人がある場合にどの法人の子会社にするのか」、といった論点は、比較的取得のハードルが高い米国ビザ取得の必要性や方針とも関連しています。ストラクチャー(持分体系)は、事業リスク等を考慮して、「複数のグループ会社をアメリカで設立して運営するのか」「シンプルに1社の設立をするのか」といった点の考慮が必要です。Director(取締役)やOfficer(執行役員)等の会社機関の要件については、会社形態や株主数などによって変わってきますが、概して言うと米国ではこれら経営者の(米国)居住者要件はなく、外国人一人の名前で設立が可能です。ただし、会社設立以外の要素で、居住者の権限者が求められる場合がありますのでご注意ください。

STEP3
会社設立州の選択

アメリカでは、会社設立 (法人設立) した場所と、実際のビジネスを展開する場所が、必ずしも同じ州である必要がありません。最もストレートな方法は事業を展開する州で設立、事業展開、法人税税務申告、という形ですが、会社関係法制度の有利不利等を考慮して、特定の州で設立を行い、他州で事業展開を行うために、設立した会社をその他州で州外法人(Foreign Corporation)として州登録をする場合も多く見られます。このようなケースで会社設立を行う最も有名な州はデラウェア州だと言われます。デラウェア州は東海岸、ニューヨークとワシントンDCの間に存在する小さな州です。株式上場会社の半数がデラウェア州の設立会社と言われます。なお、特定の業種を除き、デラウェア州設立での節税のメリットはありません。

また法人税率は州により0%~10%前後とまちまちですが、課税は事業活動を行う州では必ずされますので、設立州をどこにするか単純に法人州税が低減できるわけではありません。また州税は所得に比例する法人税以外に、総収入を基準に税金が課されるような制度を、低い法人税率の代わりに課すような場合もありますので、注意が必要です。

STEP4
会社名の決定

会社設立 (法人設立) する州において、同じ会社名、または類似の会社名が存在する場合は、その会社名で登記することは出来ません。そのため、会社設立 (法人設立) の手続前に、希望の会社名が利用可能かどうか、調べておく必要があります。社名が利用できるかどうか正確に調べるには、州へ直接問い合わせる方法が一番正確です。州のWebサイトなどでの調べることも可能ですが、登録申請中の会社名に関しては、調べることができません。調査の結果、使用可能だと判断する場合、もし定款を提出するまでに時間が必要な場合は、少し費用が掛かりますが、会社名の予約も可能です。希望の会社名が既に使用されている場合は、Fictitious Name(商号)と言われるその州でのみ使う通称を登録することになります。

STEP5
定款の登録

会社名が確保でき次第、会社の定款を作成し、発起人の署名済み定款を、所定の登録税・手数料とともに州務長官へ登録します。定款に必要な記入事項は、州によって必要な項目が異なりますが、会社名、法定(訴訟書類等送達受領)代理人、事業目的、事業を行うカウンティ(郡)、授権株式数、などです。このように会社登録時に提出をする定款(Articles of Incorporation, Certificate of Incorporation, Articles of Formationなどと呼ばれる)は限定的な内容の1-2枚の書式になり、州会社登録までの時間は、こちらも州によりますが、急行サービスを利用すれば、その日のうちにも完了する場合もあります。

【定款の記入事項】
- Registered Agent送達代理人:「訴訟書類等送達受領代理人」と呼ぶこともあります。送達代理人とは、会社の代わりに訴訟に関する書類やその他重要な書類を受け取る役割を果たします。州の規定で必ず求められる場合と、任意で求められる場合があります。必ず求められる場合も、多くの場合、登録サービス業者のみでなく、州内居住個人名・住所を代わりに使うことができます。例えば、デラウェア州で会社を設立し、実際は他州でビジネスを展開する際、デラウェア州に人員や事務所を持たない企業も多くなりますが、その代わりに送達代理人が訴訟書類を受け取る役割を担います。一般にRegistered Agentサービス報酬は年間で100ドル前後と限定的ですが、その他の郵送物を受け取ったり転送する場合は別途のサービスに加入が必要です。

STEP6
連邦雇用者識別番号(EIN)の取得

いわゆる「会社設立」の手続きは、一般にステップ5のみではなくステップ7~9の内部的な手続きや書類整備を持って完了するものですが、タイミング的には定款登録後すぐに連邦雇用者識別番号(EIN)を取得するとよいと思います。

連邦雇用者識別番号 (EIN) は事業者の連邦IDとなる番号で、その名のように雇用を行う事業のみならず、ほぼすべての事業について連邦上IDとして統一的に用いられる番号です。税務当局への申請で入手をすることになりますが、その後銀行口座の開設や、州当局への手続きの際に、必要になります。個人事業主も事業用IDを取得することができます。

取得は連邦税務当局(IRS)へ「SS-4」フォームを提出することで行われます。郵送やオンラインでの取得が可能で、責任者の属性などの条件が整えば、オンラインで即時に取得することも可能です。オンラインでも取得に数週間かかる場合がありますので、申請時に注意が必要です。また税務上の事業にかかる必要情報を提出することになりますので、申請内容をSS-4に署名をして紙で申請する以外の場合は、申請内容の記録を残すようにしてください。当初の申請時の内容を誤って提出しており、かつその内容が明確でない場合に、後から情報修正に手間取る場合が散見されます。

STEP7
設立州以外の事業遂行州への登録

米国会社法は州の法律に基づきますので、場合によっては設立州と事業遂行州を区別して、特定の州での会社設立後、事業遂行州で州外会社(Foreign Corporation/LLC)として州会社登録局への登録を行うことをすることがあります。この判断は原則的に税務上の有利不利という観点からのものではなく、会社法的なリスク管理の観点からの判断になります。また2州への登録が税務的には必ずしも不利になるわけではありません。各州での具体的な登録手続きは異なりますが、基本的には簡便な手続きで終わることが多いです。なお州の税務登録や雇用者登録などは別途必要になってきます。

STEP8
必要な内部決議(決議書含め会社設立書類の整備)

一般的には発起人が最初の取締役を選びます。その後、発起人が定款の記録年月日と、取締役名を記載してサイン。ここで指名された取締役が取締役就任届けにサインした後、発起人は辞任します。その後は設立時の株主総会(または書面による株主決議)と取締役会(書面による取締役の決議)を行い、By-Law (Corporation)と呼ばれる付属定款またはOperating Agreement (LLC)と呼ばれる経営管理契約(それぞれ会社の詳細管理ルールを定めたもの)の内容を含めて、一連の設立行為を承認し、Officer(執行役員)を選任します。

STEP9
株券の発行とコーポレート・キットの整備

会社の所有権を具体的に表象する株券(Stock Certificate(Corporationの場合)やMembership Certificate (LLCの場合))を発行することを選択する場合、その書類を準備して、特定のオフィサーが署名を行います。また関連してコーポレートキットと呼ばれる一連の書類を綴じて保存するためのバインダーやコーポレートシール(Corporate Seal)インボイス=刻印を押すためのツールを用意します。日本のような会社印としての役割を果たすものではなく、運営開始後もコーポレートシールを使わねばならない機会は非常に限られると思います。

STEP10
銀行口座の開設

銀行口座の開設に関しては、ステップ5の会社州登録とステップ6の連邦税務番号の取得ができれば、すぐに行えます。銀行口座開設は、各銀行のポリシーに基づくので、法律で定まっている会社設立手続きそのものよりも不確実性が高いので注意が必要です。特に外国からの投資が関係する場合(海外子会社の場合も含む)、銀行側から見て懸念される点がありますので、一筋縄に開設まで行かない場合も可能性的にはある点や、開設後もまれに急に閉鎖が求められるようなケースもあります。

原則として会社の署名権限者(オフィサーや代理で銀行口座開設に関してオフィサーとしての権限を賦与された者)が支店に出向き、口座のオープンを行います。インターネットバンキングの設定はその後行います。海外からのアクセスは大手であれば基本的には大丈夫ですが、セキュリティ確保の仕組や承認フローと関わる機能など、まちまちですので、会社の業務フローに合わせて使いやすいものを選ぶことが重要です。

STEP11
州雇用者登録

アメリカの会社が従業員を雇用し、給与の支払いが発生するには、その州の労働関係省(Department of Laborなど)に雇用者登録を行う必要があります。この手続きにより、雇用に関係する以下のような会社の義務または任意の選択により適用される制度について、加入や対応を求められることになります。

・州失業保険
・州障害保険
・州労災保険
・州所得税源泉徴収及び源泉税申告
・社会保険料支払及び申告(会社負担分含む)
・会社給与アカウントの設定(給与処理準備)
・401K口座など追加的福利厚生制度の設定

STEP12
ビジネス・ライセンスの取得

ビジネスライセンスが必要かは、事業内容と事業を行う州やそれ以下の自治体のルールによって異なります。一般事業の場合は、アメリカでビジネスを行うのに「ライセンス」は必要としないのが通常です。ただし、特定の産業に属する事業や飲食業などは別途対応が必要になります。

このために、アメリカでよく「営業権」と呼ばれるものは、州売上税関連登録の証明書(Certificate of Authority)、すなわち売上税徴収業者であることを示す証明書になります。なお売上税は州の制度であり、各州(及び各自治体)で制度自体(課税対象や課税料率)が異なります。売上税は厳密には日本の消費税のような付加価値税ではありませんので、事業者は原則的には顧客が支払った税金をそのまま納付すると言うことになりますが、卸売業者(Resaleを行うビジネス)に対しての免税措置などが設けられています。

STEP13
アメリカ商務省経済統計局へ「BE-13」または「BE-13 書類提出免除」の提出

アメリカ商務省では、外国資本がアメリカに参入する同行を調べるため、毎年統計を取っています。日本人、または日本法人が、アメリカ現地会社における10%以上の議決権を所有する場合、枚者の財務状況を経済分析局へ毎年届け出る必要があります。「BE-13」は、その初回に行う申請書です。アメリカで100%子会社を設立すれば当然この義務が課せられますが、アメリカの会社の総資産価値が300万ドル以下で、所有している土地が200エーカーに満たない場合は、「BE-13 書類提出免除」を申請することになります。2年目からは、毎年申請義務があるかどうか確認する必要があります。

ポイント3:アメリカで会社設立(法人設立)するために必要な書類・準備

ポイント3:アメリカで会社設立(法人設立)するために必要な書類・準備

会社設立に必要な情報&準備

・資本金US$0 (原則、最低資本金の規定なし。州により規定が異なる。)

・発起人1名(18歳以上)

・(州により)代行業者や州居住個人の送達代理人 (レジスターエージェント)1名

・会社名 (利用可能かどうか事前にチェック)

・州申請費 数百USドル~

・住所(州により必要な住所の種類、州内外の利用住所制限など異なる。郵送住所は必須)。

・(支店登録の場合)日本の会社の登記簿謄本、同翻訳版

監修企業:GIIP日米国際会計事務所

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