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【タイ】国民年金制度発足でタイの将来は救えるか!?

2015年03月23日

週刊WISE

経済・社会問題を専門とするNPO団体「Kenan Institute Asia」が発表した「2014年タイの家計債務状況」によると、 名目GDPに占める家計債務残高比率は84%に達し、数年後には90%を超えて100%に到達すると予想。 家計債務の増加率は年間15%にも及ぶという。

同団体トップのピヤブット氏は、家計債務増の理由について「タイ人は、お金の使い方、貯金、投資といった基本的な知識が乏しいのに加え、簡単にローンが組めてしまうため、借金がどんどん膨らむ」と指摘する。

その一方で、国民貯蓄率の目減りが止まらない。

財務省によれば、2002〜07年に平均20・2%だった貯蓄率は、08〜12年には同4・6%に減少。 直近では1・2%まで下がったという。背景には、前政権の“バラマキ”と揶揄された景気刺激策(減税措置)に心を躍らされた国民の多くが無理なローンを組んだことが挙げられる。そこに、タイの主力農産物であるコメや天然ゴム価格の世界的下落が追い打ちをかけ、農業生産者に大打撃を与えた。

国民の将来を不安視した、プラユット暫定政権は、債務免除や返済期間の延長といった対策を講じるとともに、国民年金基金の発足に向け動き出した。 同基金は、15〜60歳未満の国民から毎月50バーツ以上を受け取り、60歳から年金として支給される制度で、対象は自営業者、農業生産者といった年金制度のない「インフォーマル・セクター」。対象者数は、タイの労働力人口3840万人にうち、2210万人(約6割)に上るという。

ただ、国民年金は2011年にアピシット政権下で設立されたものの、次のインラック政権下では踏襲されず、事実上の廃止。 今回、再登板となったわけだが、国民の中には「廃止や終了もある」と疑念を抱く者も少なくない。まして、日頃から生活が困窮し、債務を抱える農業生産者が、将来を見越して、年金制度を活用する余裕があるとも思えない。

いずれにせよ、景気回復に消費意欲の向上は必須。だが、財政出動ありきの大型の景気刺激策では、“バラマキ”と言われ、前政権と同じ轍を踏むことにもなりかねない。プラユット暫定政権の次の一手に注目したい。

 

週刊WISE
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