ドイツで会社設立 (法人設立) する手順まとめ | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号


ドイツで会社設立をお考えの方へ

ドイツへ進出するにあたり、「どのような形態で会社設立(法人設立)できるのか」「どれくらいの期間で設立できるのか?」などと疑問に思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
海外への進出・会社設立は日本と税制や法律、そして言語が違うこともあり、不安を抱えていらっしゃる方も多いと思います。

そこで、2013年より海外進出支援メディアとして世界各地のビジネスの専門家を紹介してきたヤッパン号が、ドイツへの進出形態やそれぞれのメリット・デメリット、進出までのステップなどについて解説いたします。

ドイツでの会社設立(法人設立)について知っていただき、実際に進出を検討される方へは、設立支援を行うヤッパン号おススメの専門家も紹介いたします!

それでは、1つ1つみていきましょう!

掲載情報については2015年12月31日時点における情報に基づいて、ヤッパン号編集部で作成したものです。ただし、その掲載情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(ISHIN SG PTE. LTD.)は何ら保証しないことをご了承ください。直接、専門家の方々にお尋ねすることをお勧めいたします。くれぐれも慎重にご判断ください。

ドイツで会社設立するために知っておきたい2つのポイント

ポイント1:ドイツへの進出形態とそのメリット/デメリット

一般的な海外進出の形態としては、「現地法人」「支店」「駐在員事務所」が挙げられます。この中でも、ドイツに進出する日本企業が選択する進出形態として多いのは「現地法人」です。多くの日本企業が、日本企業を出資者(株主)とした「有限会社(GmbH)」を設立しています。なお、ドイツでは業種によって、進出形態が制限されるようなことはほとんどありません。


[現地法人]

現地法人を選択する一番のメリットは、訴訟リスク、債務リスクを日本本社が抱える必要がない点です。万が一、ドイツで大きなトラブルが発生したとしても、その全ては現地法人の責任であり、トラブルによる本社への損失を避けることが可能になります。

また、現地法人のもう一つのメリットが「信用」です。多くのドイツに進出する企業が現地市場への販売を目的としています。そのため、現地企業との取引が必須です。その際、現地法人は撤退が容易ではないため、支店などに比べて信用されやすい傾向があります。


[支店]

支店も、現地法人と比べてそれほど大きなデメリットはありませんが、先に述べた通り、撤退がし易い支店は取引を行う上で信用にやや欠けるとみなされる可能性があること、訴訟リスク・債務リスクが本社に及んでしまうことはデメリットの一つです。

その他にも、登記変更の手間も挙げられます。日本本社の支店であるため、日本本社の役員に人事異動があれば、その度にドイツ支店側の登記変更をする必要がでてきます。本社役員の変更は半年ごとくらいのペースで起きることも多く、登記変更手続きには、その都度費用と時間がかかります。


[駐在員事務所]

一般的な進出形態として他に、駐在員事務所があります。駐在員事務所は営業活動をせず、日本本社のビジネスのために補完的業務を行う事務所として、税務上PE(恒常的施設)とみなされないものですが、それゆえ活動範囲が制限されています。ただし、駐在員事務所では、営業活動が禁じられているというわけではありません。駐在員事務所の活動がPE認定を受ける領域に及び、売上の一部がドイツ源泉であるとみなされる、あるいは明らかにドイツで駐在員事務所が売上を上げた場合は、ドイツ国内で課税対象となり、税務上、いわゆる支店という扱いになります。

そもそもドイツには駐在員事務所という法的概念は存在しません。税法上は、「恒久的施設ではない支店」という扱いであり、簡単に言えば、売上の無い支店です。そのため、駐在員事務所が売上を出せば、税法上、支店として取り扱われます。

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ポイント2:ドイツ現地法人設立のステップ

下記では、ドイツで有限会社(GmbH)を設立する場合のステップを説明します。

なお、表に記載している日数は、あくまで参考であり、登記申請を行なうドイツの地域、時期などの状況によって異なります。特に公証人役場で会社発足の手続が完了し、資本金の振込み後に登記裁判所に全ての資料を提出してから実際の登記完了までの期間は2週間として考慮していますが2ヶ月が経過することもありえます。



 

▼ステップ1:代理人と委任状の準備

発起人(ほとんどの場合は、日本本社の100%子会社として設立するため代表取締役)が直接ドイツに赴いて会社設立手続きを行うことができない場合、代理人の選任と委任状を準備する必要があります。代理人は現地で会社設立のサポートが可能なドイツ弁護士もしくは、現地での駐在が予定されている会社の方に委任するのが一般的です。 委任状は、発起人が日本の公証人役場に出向いてサインする必要があるため、時間が掛かる事が多く、1ヶ月以上前に準備を始めておくことをお勧めします。また、委任状へサインした後、そのまま公証人役場でアポスティーユも付与してもらい、一式をドイツの代理人の元へクーリエで送付します。

 

▼ステップ2:登記住所の確保

ドイツでは、会社設立前に事務所の住所が確定している必要はなく、どの地域に会社を設立するか決まっていれば、手続きを進めることが可能です。 ただし実務的には、登記裁判所からの郵便物を受取るため、住所を用意する必要があります。住所を確保する方法としては、レンタルオフィスを利用する方法や、会社設立をサポートしてくれる弁護士事務所などの住所を借りる方法があります。また、現地法人設立前にオフィスを借りるケースも多いようです。現地法人設立までは、日本本社が契約者となって現地法人設立後に契約者を変更したり、設立前の現地法人の名義で事務所を借りたりと、現地の不動産業者も柔軟に対応しているようです。

 

▼ステップ3:現地法人の社名決定

会社設立手続きを始める前に、現地法人の社名を決定しておく必要があります。現地法人の場合は、日本本社と関係なく自由に社名を付けることも可能ですが、日系企業の場合、基本的には日本本社の社名を含んだ社名が一般的です。 現地法人の社名候補が既に他の企業に利用されている場合、同じ社名は利用できないため、予め社名候補が登録可能かどうか確認しておく必要があります。社名候補を複数用意し、ドイツの商工会議所に確認を取ります。

 

▼ステップ4:決議書の作成

ドイツでの会社設立について、現地法人の出資者(株主)全員がサインした決議書が必要になります。日系企業の場合は、日本本社が唯一の出資者(株主)とするケースがほとんどですが、その場合は日本本社の代表取締役がサインをした決議書を用意します。決議書を作成する際には、現地法人の所在地と社名が必要になるため、決議書作成前に住所と社名は準備しておきましょう。

 

▼ステップ5:定款作成&会社設立手続きの準備

次に、現地法人の定款や登記所への申請書など、登記手続きに必要な書類を準備します。定款などはドイツ語で作成する必要がありますが、会社設立を委任したアドバイザーや、翻訳会社に英訳、和訳を依頼し、内容を確認することをお勧めします。下記のような情報が必要になります。

・資本金金額
資本金は、最低資本金である25,000ユーロに設定する企業が比較的多くなっています。その理由は、ドイツでは「資本準備金」という名目で運転資金を入れることが可能です。資本金の場合、いざ減資したい際には減資手続きを行う必要があり簡単に返金できませんが、資本準備金であれば現地法人の出資者(株主)総会決議だけで、日本本社へ返金できます。一方、現地で信頼感を得るために資本金額を高く設定する日本企業も少なくないので、自社に適した資本金設定を社内でしっかりと検討されることをお勧めします。

・会社の目的
定款には「会社の目的」を記載する必要があります。「会社の目的」はある程度詳細に記載する必要があります。一般的には、日本本社の定款を参考にしながら、現地法人の業務に適した内容に変更します。販社の場合でもあらかじめ生産、支店開設、子会社設立なども盛り込むと、実際にこのような活動を開始する際に定款変更が不要となります。

・代表取締役
ドイツでは代表取締役を複数任命することが可能です。その代わりに、副社長という概念がありません。そのため、副社長のポジションを作りたい場合は、単独のサインでも決議ができる単独代表権を代表取締役に該当する人物のみに与え、副社長に該当する人物からは、単独代表権を免除する旨を定款に記載する等の対応が考えられます。

・決算日
事業年度は暦年が一般的ですが、定款に記載すれば他の日を決算日とすることは可能です。一旦、暦年を設定すると変更の際は税務署の事前承認が必要です。

・現地法人の代表取締役の氏名、住所、生年月日

 

▼ステップ6:法人口座開設の準備

邦銀の現地支店にて、現地法人の法人口座を開設することをお勧めします。BTMU, Mizuho, SMBCの支店がデュッセルドルフにあります。先ずは本社のメインバンクに現地法人設立のサポートを依頼し、そこからデュッセルドルフ支店への連絡が行くケースが多いです。法人口座開設のプロセスは銀行によって必要な書類や手続に要する時間が異なりますのでお早めにご連絡されることをお勧めします。

 

▼ステップ7:会社設立手続き(公証証書の発行)

ドイツの公証人役場にて、会社設立手続きを行います。その際、出資者となる日本の会社の代表者事項証明書(日本の公証人役場にて発行)及びアポスティーユ、さらに認証つきのドイツ語訳が必要となります。設立手続きの内容としては、公証人のもとで出資者総会を開催し、そこで会社設立の決議を取ります。決議を取ると言っても、一般的には公証人が決議書を読み上げ確認し、サインをするだけです。同様に、定款も公証人が読み上げ、日本から訪独されている本社代表取締役又はその代理人のドイツ弁護士がサインします。

この手続により会社設立の公証証書が発行され、会社自体は設立されたことになります。ただし、登記完了までは無限責任会社であり、法人設立中の意味となる「i.G.」を追記することで社名が使用可能です。(例:ISHIN GmbH i.G.)

 

▼ステップ8:口座開設完了(会社設立の証明書を銀行へ提出)

ステップ7で発行された、会社設立の公証証書を銀行に提出することで、法人口座を正式に開設します。

 

▼ステップ9:資本金を口座へ送金

口座開設後、速やかに資本金を法人口座へ送金します。口座へ入金後、銀行の明細/証明書等を公証人役場へ送付します。この資本金振込の証憑は、登記裁判所へ提出します。

 

▼ステップ10:登記手続き(登記申請書と出資者リストへの署名)

法人の設立が完了したら、登記申請書と出資者リストに任命されたドイツ現地法人の代表取締役がサインします。 登記申請書については、ドイツ現地法人の代表取締役(複数いる場合は全員)がサインする必要がありますが、ドイツで登記申請に同席している場合は設立の場で署名します。ドイツ現地法人の代表取締役が日本にいる場合は日本の公証人の前でサインする必要があり、その書類に関するアポスティーユも準備する必要があります。出資者リストは、現地法人代表取締役のサインが必要になりますが、公証人の前でのサインや、アポスティーユは必要ありません。

 

▼ステップ11:登記完了

ドイツの公証人は資本金の入金の確認が取れ次第、会社設立に関する書類を登記裁判所に送付します。それらの書類を登記裁判所がチェックし、問題なければ、登記手数料の請求書が、定款に記載されている新会社の住所へ送付されます。その登記手数料を支払えば登記完了となり、その後、登記完了の通知と、登記簿謄本が公証人より送付されてきます。なお、登記申請は、1週間で完了する場合もあれば、夏休みなどの期間には2ヶ月ほど掛かることもあるので注意が必要です。

 

▼ステップ12:各種税務登録

登記が完了したら、賃金税、法人税、VATの税務登録を行います。貿易のためにはVATIDとEORI登録番号を取得します。通常は、会計事務所がこれらの登録を代行します。

 

▼ステップ13:市役所へ営業届を提出

法人設立後、市役所への営業届を提出する必要があります。また、事業が拡大し、他の地域でも事業を展開する際は、その街の市役所にも営業届を提出する必要があります。その場合、賃金税(個人所得税)や営業税は、地域ごとに収める必要があるので、会計事務所に登録の連絡をしてください。

 

▼ステップ14:労働局・社会保険機関への届け出(現地雇用がある場合のみ)

現地法人運営にあたり、日本からの駐在員だけでなく、現地での雇用をする予定がある場合、労働局と社会保険機関へ届け出が必要になります。なお、人材採用についてですが、ドイツは失業率が低いため、採用するにしても、既に他の企業で雇用されている方を採用することが多いです。その場合、雇用契約により、1ヶ月~3ヶ月前の事前告知が必要になり、採用を決定してもすぐに雇用できない事が多いため、採用活動についても早めに進めておくと良いです。

 

※補足:ビザ申請について

現地法人設立とは直接関係はありませんが、出向者として現地法人で働く本社の従業員は、就労ビサがないと働けません。会社設立の行為は就労ビサがなくて出張者のステータスで遂行可能です。会社が発足された後、直ぐにでも事業開始を計画している場合はビサ申請のプロセスは早めにスタートしなければなりません。ドイツでの就労ビザ申請のためには「住所」が必要になります。駐在員の方は、ウィークリーマンションなどで仮住所を用意し、市役所で住民登録をしてビザ申請を開始するケースも多いです。

 

なお、海外赴任時に海外旅行保険に加入させる企業も多いようですが、ドイツの場合は、ドイツの健康保険に必ず加入することになるため、ビザ申請のために海外旅行保険に入る必要はありません。日本人の場合は、インターネットでは情報があまりない特別な駐在員健康保険がありますので日系保険ブローカーにご相談ください。ビザ申請の期間は、取得までの期間が申請する地域によって大きく異なります。デュッセルドルフでは日本人の申請が多いこともあり、1ヶ月ほどで取得できますが、その他の地域では2~3ヶ月程掛かることもあるようです。

【記事監修】フランカス 公認会計士・税理士・弁護士事務所

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