【ベトナムは魅力的なマーケット】
―なぜベトナムに進出することにしたんですか?
当初はインドネシア、タイ、カンボジアとベトナムで進出の検討をしていました。ただ、マーケットのポテンシャルと商品特性、国の特徴などから総合的に検討して、最終的にベトナムに決めたんです。そもそも弊社のマーケットである電動バイクマーケットは、インドネシアとベトナムがアジアの中でマーケットとして大きいんです。規模としてはインドネシアが一番大きく、次いでベトナムです。
ちなみに電動バイクに関わるベトナムの特徴としては、ベトナムは車の関税が高く、車よりバイクに乗っている人が多い。交通渋滞を解消するために国として車の数を増やしたくない。またベトナムは日常の移動距離が短いというのも関係していると思います。
一方でインドネシアではバイクよりも車が市民のメインの乗り物です。一回の移動距離も長いですし、車もローンで買える層が増えている。そして、電動バイクの特徴としては車と比べてスピードが出にくいですし、充電1回あたりの移動距離が短い点がある。これらを総合的に判断して、ベトナムの方が進出として適しているとなったわけです。今後はベトナムで成功させた後に各国でも積極的に事業展開していきたいと考えています。
【ベトナム人の育った環境・歴史背景を知る】
―ベトナムのマネジメントは日本のマネジメントとどんな違いがありますか?
当たり前かもしれませんが、お互い人間なんで日本人もベトナム人も根本は変わらないと思います。喜怒哀楽はありますし、給与が上がれば喜ぶし、人が亡くなれば悲しむ。人間が感じる喜怒哀楽に関しては世界中どこへ行っても変わらないと思います。とは言っても、育ってきた環境が違うので、その点は気をつけなければなりません。物価を例にすると、ベトナムでは物価が年々上昇しています。ガソリンや生活雑貨などのモノの値段が上昇し続けているんです。これらの背景を知らずに、ベトナムの方から急に給与交渉などをされると、「ベトナムの人はやたらと給与交渉をするな」と感じてしまいます。しかしベトナム人からすると物価が年々上昇しているので、給与交渉をするのは当たり前なことなんです。給与が上がらなければ、物価が上昇している分、彼らは給与が減額されるのと同様と感じてしまいます。ですので、ベトナム人が置かれている環境や歴史背景をしっかりと理解することが大切だと思います。環境や歴史背景を理解するだけで誤解はだいぶ減ると思います。ま、それを差し引いても日本とはお金への考え方は違うと思いますが(笑)。
ただ、ひと口に「理解する」と言っても、簡単なことではありません。これらのことをちゃんと理解するためにも、自分自身の目と鼻など五感を駆使してベトナム人と同じ生活をすることを私はオススメします。日本にいながら、雑誌などで情報を仕入れても、本質的な理解はなかなか難しいと思います。まずは自身で体験して感じることが何よりも大切だと思いますね。