意思決定者が海外進出の明暗をわける | シンガポール、東南アジア進出企業インタビューならヤッパン号


重要なのは意思決定者が現地に赴任

AIWA TAX ADVISORYSINGAPORE PTE. LTD. 所長 佐久間 裕

重要なのは意思決定者が現地に赴任

人口減少のあおりを受け国内マーケットの縮小が予想されるなか、マーケットが堅調に拡大している東南アジアへの海外進出は企業の規模を問わず需要が高い。シンガポールを中心に東南アジア進出をサポートしてきたあいわ税理士法人シンガポールオフィス所長の佐久間氏は「成功のためには役員クラスの意思決定者が現地に赴任することが不可欠」と話す。海外進出を成功させるための秘訣を同氏に聞いた。

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※下記は経営者通信45号(2017年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。掲載元

 

現地でうまくいかないのは「私が行かないから」と思えるか

―中小・ベンチャー企業の海外進出について最新事情を教えてください。

進出の背景にある成長戦略の質が変わってきているのが特徴です。日本企業のシンガポール進出がピークを迎えた2012年前後は、「周りが海外進出をしているから」といった受動的な理由で進出を決める企業も多かった。

しかし最近は、「自社の成長のために、急成長するアジア市場をとりこもう」といった能動的な理由からの進出が多い。戦略推進の陣頭指揮をとる社長あるいはNo.2が自ら現地におもむき、主導となり事業を成功させようとする企業が出てきました。

 

―よい方向への変化でしょうか。

そうですね。本社とおなじように海外支社を考えた結果、意思決定者が現地におもむくようになったのですから。

ある旅行会社では、いま急拡大しているインバウンド事業に早くから目をつけ、シンガポールに拠点を設置。当初は、現地のフリーランスを雇い、営業も企画も彼らが主導していました。しかし、急成長するインバウンド旅行市場を積極的に獲得するため「他人まかせにせず自分たちで開拓していこう」と、社長自らシンガポールにおもむき、本社を移転。より市場に近いところで戦略立案と実行、そして統制と管理が迅速にできるようになりました。ここに、海外進出を成功させるうえで非常に重要なポイントがあります。

 

―それはなんですか。

「海外のことは海外の専門家やスタッフがいてくれるから大丈夫」と考え、日本から遠隔操作だけをしている経営者が多いなか、「他人まかせにせず自分たちで開拓していこう」と意識を変えられたことです。実際、新たに海外進出をするとなると、ただでさえ多忙な経営者や役員が日本本社の業務のかたわらですべてを把握し、こなすのは大変。結果、信頼のおけるスタッフに海外進出をまかせることになります。

しかし、海外進出でつまずく場合、現地に意思決定者がいないことで問題が発生するケースが多いんです。

 

―意思決定者が海外にいないために発生する問題の具体例を教えてください。

大きくわけてふたつのパターンがあります。ひとつは、意思決定者が現地に駐在していないことによって起きる現場の混乱。たとえば中堅社員を現地に派遣し、現地での手続きから営業活動、地元スタッフの統率まですべてをまかせている。しかし実際は営業開拓や雇用人事などについて単独で決められず、こと細かに日本本社の指示を仰いでいる。そのためスピード感がなく、競合他社に顧客、人材を奪われ業績が低迷。さらに社長が「あいつにまかせているから大丈夫」と安心しきっていたところに、信頼していた当の社員の横領が発覚。そこまでいかなくても、現地のガバナンス体制が不十分なために起こる、現地スタッフの横領や盗難はよくある話です。

 

国内外の税務にくわしいクロスボーダーな専門家を

―では、もうひとつはなんですか。

それは、「海外の専門家にまかせていれば大丈夫」という安心感が生む、税務のツメの甘さです。たとえば、税務で代表的なのは、海外と日本の税務処理を別々に行っていることで、本来なら日本で控除されるはずの税金が払いっぱなしになっている「二重課税」。これは現地の専門家が行った税務申告・納税手続きに対し、日本の会計担当者や税理士が外国税額控除を適用しないことによって起こります。現地の専門家は日本の税務までアドバイスできないうえに、日本側は海外税務・クロスボーダー取引にかかわる国際税務の知識と経験が不足しているため、通常より多くの税金を払っているケースが多いんです。

 

―日本の会計担当者に海外税務・国際税務の知識がないのは仕方がないと感じます。

はい。そこで、国際税務にくわしい日本の税理士に、国内も海外も会計税務をまかせるのがベストでしょう。

たとえば、私たちあいわ税理士法人の税理士は、日本で国際税務の経験を積んでから、海外に派遣されます。日本の会計と税務、そして海外の会計と税務のノウハウをもっているため、国内と海外の会計税務をトータルで最適化することができます。

 

―アジアの経済成長を自社の成長戦略にとりこみたい経営者にアドバイスをください。

海外進出を成功させるため、専門家をうまく活用しましょう。「顧問税理士をいきなり交替させるのは困難」という場合も、気軽にご相談ください。

あいわ税理士法人 シンガポールオフィス 所長 佐久間 裕(さくま ゆたか)プロフィール
1976年、千葉県生まれ。KPMG税理士法人東京事務所を経て、2012年にあいわ税理士法人に入所。前職から主として国際税務アドバイザリー業務に従事し、日系企業の海外進出、外国法人のインバウンド投資をサポート。日本側から見たクロスボーダー取引にかかわる税務問題について数多くの案件を手がけている。国際税務のほか、組織再編コンサルティング、株式公開にかかわる資本政策コンサルティングを得意とする。 2016年6月、AIWA TAX ADVISORYSINGAPORE PTE. LTD.、(略称:あいわシンガポール)取締役に就任。

 

 

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