今回は、会社設立に関わる主な最新の運用上の課題、変更点について、共有させて頂きます。
1/類似商号について
最近、カンボジアで法人設立を行う際、希望の商号が使用できないケースが大変多くなっています。多くの場合、新設会社名が既存の商号と照らして類似商号と判断されています。ただ、商業省における類似商号の判定基準については、曖昧で不明確な点が多く、明確な回答は難しい状況です。
対応策として、新設会社に(カンボジア国内外を問わず)親会社が存在する場合、当該親会社が「親会社と類似もしくは関連する商号を利用を認める」趣旨の書面を提出すれば、当該商号がその他既存会社の類似商号であったとしても、認められる可能性があります。他方、個人株主の新設会社の場合、現状有効な対応策がありません。スムーズな手続きのためには、類似商号とみなされないような会社名を10〜15候補程度、予め用意する必要があります。
実感として、商号登録に関する審査は昨年よりかなり厳しくなってきており、特に個人投資家の進出は難化傾向にあると理解しています。
2/納税証明書の提出
会社設立や支店設立に関して、カンボジア王国内での会社事務所に関する情報を提出する必要があります。今までは賃貸契約書、電気料金や水道料金の支払い証明書面、事務所の写真や地図などが要求されていました。加えて、最近では所轄の税務署によっては、事務所を賃借している建物の納税証明が要求されるケースもみられます。しかし、そもそも建物に対する納税制度は確立されておらず、家主が納税証明書を持っていないケースがほとんどです。その場合、所轄税務署への事情説明や交渉が必要となっており、注意が必要です。
3/税務登録に関する変更点
商業省での登記完了後、所轄の税務署にて個別の事業登録を行う必要があります。従来は出来るだけ多くの事業が行えるよう、抽象的な文言(例えば、貿易やコンサルティング)で設定するようアドバイスさせて頂いておりました。
しかしながら、最近では上記のような抽象的な文言では税務署での承認がおりず、具体的な事業内容を明記する必要があります。例えば、今までは「貿易(Import and Export)」、「コンサルティング(Consulting)」 のみの記載で登録が認められていましたが、貿易では、どのような物品を輸出入するのか、コンサルティングではどのようなコンサルティング業務を提供するのかなど、かなり具体的な文言を入れるよう所轄税務署から指導されるケースが増えています。
4/現地弁護士の起用
原則的に会社設立業務に関しては、(現地弁護士を起用せずに設立が認められているケースがありますが)現地弁護士を起用する必要があるという理解をしております。例えば、現地法人の設立の場合、定款の起案、加筆や修正を行う必要があるかと思います。商業省によれば、定款の加筆、修正については、通常のコンサルタント会社もしくはコンサルタントには権限が与えられておらず、現地弁護士もしくは商業省の担当者による修正でなければ承認を得ることができません。
また、本年度より法人設立の設立難易度が上がってきております。前述した納税証明書の提出や、設立期間の長期化傾向がみられ、スピードと確度を上げるためにも、会社の設立に関しては信頼できる弁護士の起用をお薦めしております。
カンボジアでの会社設立にご興味ある方は、こちらから専門家へのお問合せが可能です。
→カンボジアで会社設立 (法人設立) する手順まとめ