【ドイツの会計事務所・法律事務所が贈る お役立ちコラム】新年のご挨拶と2015年&2016年のドイツ法改正レビュー(租税協定・ドイツ商法典の改正 / エネルギー監査の注意点) | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号


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【ドイツの会計事務所・法律事務所が贈る お役立ちコラム】
新年のご挨拶と2015年&2016年のドイツ法改正レビュー(租税協定・ドイツ商法典の改正 / エネルギー監査の注意点)

謹賀新年

ヤッパン号をご覧の皆様 新年あけましておめでとうございます

2015年より、ヤッパン号のドイツ専門家として掲載中のフランカス(会計・税務・法務の専門アドバイザー)を代表し、新年の挨拶を申し上げます。

皆様は年末年始いかがお過ごしでしたでしょうか。私は年末年始、日本へ一時帰国し、心身ともにリフレッシュさせていただきました。有馬温泉の静寂な街にて、除夜の鐘を突きながら年明けを迎えました。それとは対照的に、翌2日は上野アメ横でお土産と日本食材の爆買いをし、2016年初売りの活気を感じ、そのエネルギーを蓄えた気がしております。

さて、会計・税務の専門家として、少しだけ2015年を振り返らせていただきますと、ドイツと日本国が1966年に締結した租税協定の改正の合意のNewsがありました。長年の交渉がやっと実った年ですね。そこで、その改正が在ドイツ日系企業に与える影響を簡単に解説したいと思います。また、2016年から適用になるドイツ商法典の改正に関してもポイントをまとめておきます。そして、最後にドイツのエネルギー監査について気を付けてもらいたい点を紹介し、新年の挨拶と代えさせていただきます。

~日独租税協定の改正&日本企業への影響~

日独租税協定では、「日本企業がドイツで直接事業活動を行った場合に、ドイツと日本どちらの国でその活動の利益を課税するか」「日本人が本社からドイツへ海外赴任となった場合に、個人所得税をどちらの国で収める義務があるか」などがルール化されています。その目的としては、ドイツと日本の両国で同じ所得が課税される二重課税の回避や、いずれの国でも課税されない「Weiße Einkünfte = 白い所得」が生じないようにすることです。

 

さて、今回の租税協定の改正で関心度の高いポイントは、「ドイツから日本本社(そこがドイツ現地法人の直接の株主である場合)への配当を行う際、生じる源泉税が免除になる」ことかと思います。従来は源泉税15%が配当額から控除され、85%に減額された配当金が日本へ送金される仕組みでした。この源泉税は日本で外国税額控除などによって補填されることもなく、税負担が発生していました。この改正とともに濫用防止のために配当源泉税の免除又は軽減税率適用の前提条件が新たに定義されました。ドイツの現地法人への出資比率が10%を超えていて持分保有期間が6ヶ月を超えていると源泉税の税率は15%から5%に軽減されます。出資比率が25%を超えていて持分保有期間が18ヶ月を超えていると上記の源泉税の免除が得られます。更に租税協定の得点を得るための条件として受益者が上場会社又は、事業の活動に従事している事などが挙げられていますので実際に免税になるかは個別に検証する必要があります。

なお、ライセンス・特許などの使用料をドイツから日本に対して支払う場合も、源泉税を10%控除しなければならなかったものが、この改正合意により、免除となります。利子に関してはドイツから支払われる利息に対して源泉税は従来より徴収されてませんでしたが、日本からの支払利息には10%の源泉税が発生していました。この利子に対する源泉税も今後は免除となります。

移転価格税制に関しても改正点があります。日本企業のドイツ進出形態は圧倒的に現地法人(主にGmbH)が多いですが、支店(恒久的施設/PE=Permanent Establishment)に帰属する事業利益に対する課税が今回のポイントです。本社-支店間の内部取引に関しても独立企業原則 (at arm´s length principle)を適用し、本社-支店間の内部取引を網羅的に認識し、恒久的施設に帰属する事業利得を算定すべきと明文化されました。

 

このような租税協定の改正案が合意されたため、2016年に両国での立法が完了すれば、2017年1月1日以降にドイツ現地法人の総会決議で決定され日本に支払われる配当金の源泉税の徴収が免除となります。(※免除規定が適用になるためには租税協定適用の申請手続きを従来通りに行う必要があります)

当社は2年前にドイツ連邦財務省の担当課長に会った際に、既にこの免除規定の導入に関しては合意済みであることを説明されました。時間が掛かった主な理由は、本協定の適用に係る紛争の円滑な解決を図るための相互協議による仲裁手続(両国の税務局間での協議によっても解決されなかった事案につき、第三者の決定に基づき解決する手続)と、国際的な脱税及び租税回避行為に更に効果的に対処するため、租税に関する情報交換規定を拡大し、両国間で租税債権の徴収を相互に援助する仕組みの導入のためでした。

特にリーマンショックの2008年以降、海外拠点から日本の親会社への配当による利益還元も盛んになりましたが、その際ドイツでは他国よりも不利な負担が生じています。日本から欧州へ進出する会社は年々増えていると感じられますが、この源泉税の負担は常に英国やオランダとの条件の比較でドイツにとって不利でした。今回の合意で立法プロセスが順調に進めば、2017年以降はドイツから日本への配当には源泉税が発生しないことになります。潤沢な資金を持つクライアントには配当は延期した方が良いと、3年前からアドバイスを繰り返していましたが、これで配当の時期の目処が立つようになりました。お待たせいたしました。

~ドイツ商法典の改正&監査義務の免除範囲~

2016年はドイツ商法典の改正が施行される年でもあります。会計の専門的なルール改正はこの場で割愛します。主に中規模のドイツ現地法人にインパクトがある会計監査義務について解説させていただきます。

前提として、ドイツのGmbH(有限会社)やAG(株式会社)は一定規模を超過すると、ドイツ公認会計士による財務報告書の外部監査を依頼しなければなりません。ただ、今回のドイツ商法典の改正で、この監査業務が必要不可欠となる判断基準のライン(数値)が引き上げられたことにより、これまで監査が義務の対象であった企業が2016年12月以降の決算から監査義務が免除になる可能性があるのです。

 

その外部監査が必要となる判断基準が、以下3つです。※改正後

1)           売上高1,200万ユーロ以上

2)           総資産600万ユーロ以上

3)           従業員数50名以上

上記3項目のうち、2つ2年連続で超過する企業の場合、会計監査義務の対象となります。そのため、現行(改正前)の売上高970万ユーロ・総資産480万ユーロを超えていたとしても、改正後の新基準値を2年連続で下回っているかを是非チェックしてください。

 

もう1点、我々ドイツの公認会計士にとっては余り嬉しくない監査業務の縮小に繋がる改正点が存在します。それは、「欧州持株会社がEU域内に存在し、そのレベルでEUの規定に基づく連結決算が作成され、かつ、会計監査の対象となっている持株会社がドイツ子会社の赤字を補てんする内容のレターを作成すること」で、ドイツでの監査が免除となる規定が導入されました。実際に赤字が生じて穴埋めが難しい場合にはこのレターを撤回することも可能ですが、その場合は、その事業年度のドイツでの会計監査を受ける義務が生じることになります。詳細はお気軽にお尋ねください。

~エネルギー監査(Energie audit)&監査義務の対象範囲~

昨年10月中旬、当社クライアントから「フランカスはエネルギー監査も受託していますか?」とお尋ねいただきましたが、専門外であった為、エネルギー監査について詳しく調査いたしました。そこで、このエネルギー監査が実は多くの企業に当てはまる可能性が判明し、年末までに色々と動き回りましたので、それらの情報を共有させてもらいます。

 

まず、エネルギー監査とは、公認会計士が実施する会計監査とは異なり、特別な資格を有する技術系の監査人が実施する省エネ促進を目的とした調査のことです。このエネルギー監査が必要となるのは、年間売上6,000万ユーロ / 総資産4,000万ユーロ / 従業員250名以上の大手企業のみであり、当社クライアントの殆どが対象外である認識でした。しかし、詳しく資料を読み進めていくと、外資系の企業であれば、上記の基準値を超過しているか否かの判断に「グループ全体の連結ベースの数字が適用される」と明記されていました。

つまり、たとえドイツ現地法人が従業員2~3名の規模であったとしても、日本の本社が上場企業で数百億円規模の売上があれば、この監査を受けなければならないとの条文になっているのです…もしこれが真実ならば、当社のクライアントの殆どが対象範囲となり、早急な対応が必要となります。

 信じがたいため、こちらからエネルギー監査の管轄当局に直接、「このエネルギー監査が不必要になるための条件などはあるのか」などの例外規定について、お問い合わせしました。具体例として、年間売上が数十万ユーロ・日本人赴任者1名・ドイツ人スタッフ2名・100㎡事務所の当社クライアントを照会。驚くことに、「例外規定は存在しない」「12月5日のエネルギー監査実施期間に間に合わなければ、最高5万ユーロの罰金が発生するルール」との返答しか、ありませんでした。

ただ、私たちの経験上、たとえ規則で定められていたとしても、ドイツが現地の零細・中小企業に対して、数週間以内に監査を実施しなければ高額罰金の対象にすることは想像できません。そこで、当局の担当者に改めて相談したところ、「罰金が課せられるか否かは、当局担当者の裁量で決められること」「エネルギー監査人が多忙な背景があるため、期限厳守が難しい場合でも、監査依頼さえ出していれば大事にならないだろうこと」の見解を教示してもらうことができました。

その旨をクライアントに連絡し、早速、エネルギー監査を業者に依頼してもらいました。その際、依頼した業者より「会社の規模が小さいためエネルギー監査は不要」との返答をいただいたみたいで、当社情報の正確性を疑われたこともありましたが(笑)、当局とのメール履歴なども情報開示し納得いただきました。実際にエネルギー監査を受けた小規模クライアントのコスト負担は1,500~3,000ユーロであり、この監査は4年ごとに更新の必要があります。事務所の電気機器の消費電力を調査し、どのような節電が可能かのアドバイスが成果物となる監査ですが、その調査で可能となる電気代の節電費用よりも監査費用の方が高くつくケースは少なくなさそうです。

 

ドイツの現地法人が小規模にも関わらず、なぜ外資系というだけでエネルギー監査を義務付けられるのか…この問いにお答えするために、当時の法案議事録(国会答弁)を確認したところ、「国際的な企業は、省エネマネジメントのISO規格の検査を受けているはずであり、グループ会社も考慮されているため負担にならないはず」と、少なくても当社クライアントでは該当しない理由が挙げられていました…さらに納得がいかない点として、本法規定はEU指令の国内法化でありますが「グループの連結ベースの数値(私たちの場合、日本本社の業績を含めた数値)で考慮する」といった定義はEUからの指令に含まれていません。つまり、ドイツ特有の厳格化です。 

エネルギー監査義務が初耳の皆様におかれましては、第一四半期内にエネルギー監査を終えられることをお勧めします。同監査の実施有無は、ドイツ経済産業省の検査ですぐに明らかになる可能性があります。発見リスクが高いか否かを明言できませんが、コンプライアンス上、受けなければならない問題になっているのです。エネルギー監査人も想定していなかった4年ごとの監査義務が、いつか撤廃されることを願っています。それ以上に、「知らなかった」で罰金・罰則のペナルティを受けてしまう日本企業がいないことを願いつつ、年始のご挨拶と近況レポートを締めさせていただきます。皆様、2016年も何卒よろしくお願いします。

 

もしドイツでの会計・税務・法務にお困りの場合、弊社で1回60分までのご相談会も開催していますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

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